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ニッケル超合金 加工に進歩 長野鍛工と九州大が新工法

カップ状に成形したニッケル超合金(左)。従来は割れが生じる(右)など加工が難しかったカップ状に成形したニッケル超合金(左)。従来は割れが生じる(右)など加工が難しかった
 鍛造や切削加工で自動車部品などを製造する長野鍛工(長野市)と九州大は、高熱に強く耐食性に優れるニッケル超合金を加工しやすくし、部品の大量生産もできる新工法を開発した。ニッケル超合金は自動車や航空機のエンジン部品などに需要があるが、高熱に強い分、鍛造がしづらかった。新工法により低コストで高精度な部品が作れるほか、従来はニッケル超合金での製造が難しかった部品も手掛けられるとし、3年後の実用化を目指す。

 2010年度から九大と進める研究の成果で、29日、京都市内で開いた先端材料分野の国際会議で発表した。

 同社によると、新工法では高圧状態で固定した板状のニッケル超合金に、上下の金型を前後させる「高圧スライド加工」を施す。これにより結晶粒を微細化し、鍛造しやすくする。従来、この工法では縦1センチ、横10センチ程度の小さな材料にしか対応できなかったが、ニッケル超合金の材料を順次、加工装置に送り込む独自技術を取り入れ、大きなサイズにも対応可能となった。

 鍛造を「コア技術」とする同社は、これまでもニッケル超合金を使って自動車エンジン向けターボチャージャー(過給機)部品を生産。だが、耐熱性が高いニッケル超合金は熱を加えても鍛造しづらく、切削を多く必要とするなどの課題があった。新工法により「従来の3分の1以下の力で10倍以上変形させることができる」といい、鍛造がしやすくなることで精度を高めた製品が低コストで供給できるようになる―と見込む。

 さらに、従来はニッケル超合金では難しかったカップ状の成形も可能に。エンジンの小型化などに伴うターボチャージャーの高性能化で、こうした成形を施したニッケル超合金の部品需要は今後高まる見通しといい、同社は新工法を実用化して需要の取り込みを図る方針だ。

 瀧沢陽一技術部次長は新工法について「自動車だけでなく航空機、医療機器など幅広い市場での活用が期待できる」と説明。中村千夏社長は「オンリーワンの技術を世界に先駆けて実用化し、競争力を高めたい」と話している。

(8月30日)

長野県のニュース(8月30日)