長野県のニュース

ミサイル通過 冷静に状況を見極めて

 北朝鮮の弾道ミサイルが北海道襟裳岬の上空を通過し、岬の東約1180キロの太平洋上に落下した。

 許されない危険な挑発行為だ。状況を冷静に見極めつつ、北朝鮮に強く自制を迫らなくてはならない。

 午前6時前に発射された。日本海上空で三つに分離したとみられる。飛行距離は約2700キロ、最高高度は約550キロと推定されている。長野県など12道県に全国瞬時警報システム(Jアラート)で情報が伝えられた。

 昨年2月に北朝鮮の長距離弾道ミサイルが日本上空を通過した際は、人工衛星打ち上げと称して発射を予告していた。今回は事前通告なしの発射である。幸い、国内への落下物や船舶・航空機などの被害は確認されていない。

 北朝鮮は今月上旬、新型中距離弾道ミサイル4発をグアム沖の海上に撃ち込む計画を示した。その後、当面見送ることを示唆している。今回の発射は米国を刺激するのを避けたのか、思惑ははっきりしない。さらに発射する可能性もあり、引き続き警戒を要する。

 政府は、制裁強化の国連安全保障理事会決議が全会一致で採択された中での発射強行を「断じて容認できない」とする菅義偉官房長官の声明を出した。

 今年13回目の発射である。度重なる安保理決議違反は看過できない。北京の大使館ルートを通じて厳重に抗議したのは当然だ。

 一方で、日本が標的になったかのような安倍晋三首相の発言には違和感も覚える。「これまでにない深刻かつ重大な脅威だ」と述べた。日本上空を通るのは5回目である。いたずらに動揺を広げるようでは、混乱を招きかねない。

 菅氏は「冷静に、平常通りの生活を送ってほしい」と国民に呼び掛けた。政府は「国民への情報提供を適時・的確に行う」としてもいる。過剰な不安を生まないよう適切な対応を求める。

 韓国では米韓両軍の合同指揮所演習が行われている。ミサイル発射はこれをけん制する狙いもあるのだろう。米側は演習を続けることで挑発に屈しない姿勢を示している。対立がエスカレートし、抜き差しならぬ状況に陥ることは避けなければならない。

 首相はトランプ米大統領との電話会談で、今は対話の時でないとの認識で一致した。圧力強化の必要性や中国、ロシアに引き続き働き掛けることを確認している。従来と同様の対応で手詰まり状態を打開できるのか。対話による解決の道を併せて探るべきである。

(8月30日)

最近の社説