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建設業継承 異業種から 長野の徳武建設

徳武会長(右)からバトンを継いだ西沢社長徳武会長(右)からバトンを継いだ西沢社長
 住宅建設の徳武建設(長野市)は、徳武政彦社長(63)が7月に会長に退き、後任に西沢佳男社長(45)が就いた。西沢社長は長野市出身で、インターネットやデジタル技術を使った企業PRを支援するジャンムー(東京)を経営。事業承継を仲介した会計事務所によると、異業種からの参入で第三者が地場の建設会社を引き継ぐ事例は珍しいという。西沢社長は「地元の職人が家を造る工務店の価値をさらに向上させたい」と意気込みを話している。

 徳武建設は従業員13人で、2016年12月期の売上高は約2億7千万円。西沢社長はジャンムーを1人で切り盛りし、16年12月期の売上高は約2千万円。

 徳武会長は1級建築士。00年に大工だった父から社長を引き継いだころ、会社には2億円ほどの負債があった。太陽熱を家屋内に取り入れる「OMソーラー」の代理店として実績を積み、利益率を上げて債務を減らす一方、新卒で大工を採用。現在は10〜60代の6人の大工がいる。

 3年前に成迫会計事務所(松本市)が開いたM&A(合併・買収)セミナーに参加するなど、事業承継の検討を進めていた。

 西沢社長は、京都市の大学でコンピューターやビデオなどを使って作品を仕上げるメディアアートを専攻後、映像制作会社に就職。その後は起業して中古バイクを販売したり、通信機器商社に再就職したりした。07年にジャンムーを設立。実家がある長野市で異業種のビジネスに参入する足掛かりをつかもうと、3年ほど前に同事務所子会社の長野県M&Aセンター(長野市)に事業引き受けを持ち掛けた。

 全国展開する住宅メーカーに事業を譲る選択肢もあったが、「地域を大切にこつこつやってきた実績が覆されるのは良くない」と徳武会長。「異業種の若い人を社長に迎え、新しい目で経営した方が会社が成長する」と考え、紹介を受けた西沢社長に社有株を除く全株式を譲渡した。西沢社長を「いろいろな仕事をして、世の中の表裏を見てきた誠実な人」と評する。

 長野県M&Aセンターの松沢寿史財務コンサルティング事業部長は「売上高の大きさが逆の会社による承継が実現した珍しいケース。会社の大小ではなく、譲渡側と承継側の人間性が決め手になった」とする。

 西沢社長は当面、千葉県船橋市の自宅から週4日ほど長野市に新幹線で通う。「ジャンムーの人脈、東京で得られる情報を徳武建設の成長に生かしていきたい。職人による家造りのバトンをつなぐ責任を感じている」と話している。

(8月31日)

長野県のニュース(8月31日)