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Jアラート改善求める声 県内19市 問い合わせ100件超

職員10人が非常招集され、情報収集に当たった長野市危機管理防災課=29日午前7時17分職員10人が非常招集され、情報収集に当たった長野市危機管理防災課=29日午前7時17分
 北朝鮮による弾道ミサイル発射に伴い29日に県内で初めて伝えられた全国瞬時警報システム(Jアラート)の緊急情報を巡り、信濃毎日新聞が30日、県内19市に取材したところ、計100件を超える問い合わせがあり、住民の戸惑いが大きいことがうかがえた。各市の担当者からは、国が避難先に挙げた「頑丈な建物や地下」が周囲にないとして、地域の実情に合わせた表現に改めるよう求める声が相次ぐ。警報の対象範囲が「広過ぎる」との疑問も多い。今後も同様の警報が出される可能性がある中、県も「市町村の意見は機会を捉えて国に伝えていく」(危機管理部)としている。

 住民からの相談の多数を占めたのが、国が避難先に挙げた「頑丈な建物や地下」のことだった。

 「頑丈な建物や地下街は地方にはほとんどない。避難を呼び掛ける文章を考え直してほしい」(千曲市)、「市内にそうした場所は少なく、24時間入れるとなるとさらに限られる。地域性に配慮した指示を考えてほしい」(塩尻市)…。9市の担当者が国に対し、地域の実情に合った表現に見直すよう求めた。

 国は今回、Jアラートを通じて長野を含む12道県に緊急情報を通知。ミサイル発射4分後の29日午前6時2分、発射を伝えるとともに「頑丈な建物や地下に避難してください」と発信し、6時14分にはミサイル通過を知らせた。

 内閣官房は、Jアラートを通じた緊急情報について「複雑で長い文章だと聞き取れない恐れがあり、簡素な文章にしている」とする。ただ、駒ケ根市の担当者は「都会ならともかく、地方では現実的に難しい面がある。イメージしやすく応用できる情報がほしい」とした。

 内閣官房は「頑丈な建物や地下」への避難は、屋外にいる場合を想定していると説明。屋内にいる場合は「窓から離れるか、窓のない部屋に移動する」、近くに建物がない場合は「物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭部を守る」ことを求めており、政府の「国民保護ポータルサイト」で紹介している。

 県はホームページや広報紙でポータルサイトの情報を掲載しているが、そうした情報に日常的に触れている県民は多くないとみられ「対応が必要だが、難しい」(危機管理部)とする。

 各市への取材では、「警報を出す範囲が広過ぎる」との意見も茅野市など7市が挙げ、目立った。

 県内は、ミサイルの発射方向が青森県から兵庫県までの場合にJアラートで通知される仕組みになっている。内閣官房は「迅速に情報を出し、避難の時間を稼ぐため対象範囲が広くなる」と説明しているが、東御市は「飛行方向やルートに関し、より正確な情報を提供してほしい」と注文した。

 安倍首相が「発射直後から北朝鮮ミサイルの動きは完全に把握していた」と述べたことに触れ、「把握していたのであれば、広範囲にJアラートを流す必要があったのか」とする担当者もいた。

 「ミサイル発射を予期した際には、不確定な段階でも自治体に情報を伝達してほしい」(飯田市)、「発射予測を出してもらえば、市民への注意喚起ができる」(中野市)との要望の一方、佐久市などは「解除など、結末もしっかりと知らせてほしい」として、警戒状態の解除も告知するよう指摘した。

 各自治体も課題を残した。防災行政無線の屋外スピーカーの音量が大き過ぎたり、小さ過ぎたり―との問い合わせも多く寄せられた。市内の無線全209基を最大音量で流した伊那市は「一斉に最大音量で放送したことで住民に聞き取りにくい面があった」とした。

 発射が子どもの通学前だったことで対応に悩んだ市も。小諸市教委は市内小中学校の児童生徒の登校を見合わせる判断をしたが、ミサイルが北海道上空を通過後に落下したことを受け、通常通りに変更。学校教育課は「次の発射があるかもしれず、心配な部分もあった」とする。駒ケ根市も一時、子どもは自宅待機するよう、保護者に連絡した。

 今回のミサイル発射を受け、飯田市は市内28小中学校ごとにある危機管理マニュアルにミサイル発射時の対応を盛り込むことを検討。飯山市などは、国民保護ポータルサイトの情報を市の広報紙に掲載することを考えるとした。

(8月31日)

長野県のニュース(8月31日)