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北朝鮮対応 対話の枠組みづくりを

 北朝鮮の弾道ミサイル発射に対し、国連安全保障理事会は強く非難する議長声明を全会一致で採択した。

 声明はさらなる発射をしないよう求め、核計画の放棄も迫った。

 過去のミサイル発射で出してきた報道声明よりも格付けが高く、結束して発射を容認しない姿勢を示した意義は重い。

 一方、効果には疑問符が付く。安保理が強いメッセージを発するたびに北朝鮮は反発を強め、核実験などを強行してきたからだ。既に6回目の核実験の準備が整ったとの情報もある。

 北朝鮮の通信社は今回の発射に関し日米韓を名指しで批判し、金正恩朝鮮労働党委員長が「太平洋上での軍事作戦の第一歩」と述べた、と報じた。さらなる挑発が懸念される事態だ。

 安保理の対応が形骸化の度合いを強める中、どうすれば無謀な行為を防げるか。手詰まり状態を打開しなくてはならない。

 最大の問題は、関係各国の足並みが一向にそろわないことだ。とりわけ中国、ロシアはミサイル発射を批判する一方で、北朝鮮経済に深刻な打撃を与える制裁強化には反対の立場だ。

 北朝鮮と国境を接する中国は金正恩体制の崩壊を恐れている。難民の流入などで深刻な混乱に陥る可能性があるためだ。対話による解決を訴え続けている。

 ロシアも同様の立場を取る。米国と覇権を争っていることもあるのだろう。今回の発射は米韓の合同軍事演習が引き金になったと、批判的な見方を示した。

 制裁が強まる中、北朝鮮経済の生命線となっているのが中ロが供給する原油や石油製品だ。安保理は今月上旬、2回の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を受け、追加制裁を決議した。石炭など重要な外貨獲得源の輸出を禁じたものの、米国が訴えた石油禁輸までには至らなかった。

 日米韓は新たな制裁決議の採択を目指している。制裁強化のために石油禁輸にこだわれば、中ロとの亀裂は深まるだろう。

 そうなれば核開発の時間的猶予を与えるなど、北朝鮮を利するだけだ。日米韓だけでなく、中ロにとっても軍事的に無視できない存在になるのではないか。

 北朝鮮の核問題を話し合う6カ国協議が途絶えて久しい。いつまでも制裁論議で角突き合わせている場合ではない。関係各国はアジア・太平洋地域全体の安定を第一に考え、新たな対話の枠組みづくりに本腰を入れるべきだ。

(8月31日)

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