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森林税の今後 根本から議論し直そう

 本年度末で2期目の課税期間が終わる「森林づくり県民税」(森林税)を来年度以降も続けるのかどうか―。県地方税制研究会が報告書案をまとめた。

 「判断ができる状況にない」。異例の結論になった。半年の審議を経ても、3期目の具体的な事業の内容や規模などの情報が県から十分示されないという理由だ。「森林税のブラック・ボックス化」とも批判している。

 専門家らの報告を県は重く受け止め、税を負担する県民への説明責任を果たすべきだ。

 森林税は国の補助事業以上に森林整備を進めるため、村井仁前知事時代の2008年度に5年の期限で導入された。阿部守一現知事がさらに5年間、継続させた。

 年間に個人は500円、法人は資本金などに応じて千円〜4万円を県民税に超過課税している。

 ところが、集めた税金は使いきれず、基金に積み上がり続けている。残高は来年度当初で6億円に達する見込みだ。1年分の税収が丸々残っていることになる。

 県は、国庫補助制度の変更で零細な森林が補助対象外になったことを一因として挙げる。だが、そもそも超過課税を国庫補助の「補助裏」(県負担分)に充てるべきではない。研究会はそう指摘する。補助裏は地方交付税で財源措置されて「二重取り」になるばかりか、森林税事業の独自性がなくなるからだ。

 森林税収の2割(約1億3千万円)を市町村に配る「森林づくり推進支援金」にも厳しい目を向けた。補助金のような厳密な事業審査や事後検査がないため、どんな目的で使われ、成果が出ているのか県として十分な説明ができていないとしている。

 大北森林組合による14億円余の補助金不正受給事件の構造と似ている。県林務部は現地機関の地方事務所に森林税分を含む予算を配分するだけで、現地でどのように執行されたか把握を怠った。事件の県検証委員会が指摘している。

 森林税の使途の実態把握や説明の不足は、県が今夏行った県民アンケートにも表れた。税の使い道を「知らない」と答えた人が7割余を占めている。

 加えて、政府・与党が来年度税制改正で「森林環境税」を新設する動きもある。森林税の継続判断には慎重を要する。

 県はまず今後の森林整備の具体像を県民に示すべきだ。その上で財源のあり方を根本から議論し直す必要がある。このまま継続すべきではない。

(8月31日)

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