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ジビエ流通モデル構築支援 農水省

日本ジビエ振興協会が開発した移動式解体処理車。解体室などを備える=昨年7月日本ジビエ振興協会が開発した移動式解体処理車。解体室などを備える=昨年7月
 農林水産省は31日、県内でも課題となっている鹿やイノシシの肉(ジビエ)の利用増を目指し、2018年度に新たな事業を設けて流通モデルの構築を図る地区を支援する方針を固めた。捕獲した現場近くで解体でき、肉の鮮度保持に効果がある「移動式解体処理車」の導入支援などが柱。捕獲から解体、加工、流通まで一連の作業を手掛けるモデル地区を全国で12カ所ほど選び、事業費を補助する。同年度の予算概算要求に関連費用を盛った。

 解体処理車は、日本ジビエ振興協会(茅野市)が昨年夏に全国で先駆けて開発し、これまでに高知県檮原町でも導入されている。同協会の車両は、狭い山道でも走れるよう2トントラックをベースにしており、後部には解体室があり、手洗い器や解体器具の殺菌設備なども備え、枝肉を冷蔵室で低温保管できる。

 同協会の車両を利用した信州富士見高原ファーム(諏訪郡富士見町)で実務を担当する戸井口裕貴さんは「現場で効果的に運用でき、可能性は大きいと感じた」と話している。

 農水省によると、鹿とイノシシは14年に全国で約110万頭が農作物や林産物の被害防止や狩猟目的で捕獲されたが、大半は山中に埋めるか焼却し、ジビエ利用は推計で1割程度にとどまっている。山中から麓の解体施設に搬出するまでに時間がかかり、肉の鮮度が落ちるのが一因。解体処理車は捕獲場所の近くで処理でき、導入の支援に力を入れる。

 農水省は「ジビエ倍増モデル整備事業」として、猟友会や食肉処理加工業者、流通業者、市町村などが連携した取り組みを支援する方針。解体処理車のほか、保冷車や処理加工施設の整備に対し、事業費の半分を上限に交付金を出す。ジビエの利用に適した捕獲法を狩猟者が学ぶ講習会の費用なども支援する。

 政府は5月、ジビエの利用量を19年度に倍増させる目標を決定。農水省は「農林業被害対策の一層の進展と農村地域の所得向上を図る」(農村環境課)としている。

(9月1日)

長野県のニュース(9月1日)