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県・塩尻市・民間連携の製材工場 アカマツ受け入れ停止

「信州F・パワープロジェクト」で整備された製材工場。加工の中心に想定していたアカマツの受け入れを停止している=1日、塩尻市「信州F・パワープロジェクト」で整備された製材工場。加工の中心に想定していたアカマツの受け入れを停止している=1日、塩尻市
 県や塩尻市、民間が連携して林業再生を目指す「信州F・パワープロジェクト」で、同市に整備された大規模製材工場が本年度に入って、主力の素材として想定していたアカマツの受け入れを停止していることが1日、分かった。加工した無垢(むく)材の販路開拓が進んでいないことなどが理由とみられる。同プロジェクトは、曲がりが強く積極的に利用されてこなかったアカマツなどを活用し、森林整備と木材利用のサイクルを構築するのが狙い。停止が長引けば、事業の抜本的な立て直しを迫られる可能性がある。

 プロジェクト側は、現在の詳しい操業状況や今後の見通しについて説明していない。端材を使った木質バイオマス(生物資源)の発電事業も予定し、全体で25億円に上る税金が投入される総事業費126億円の大型事業だけに、県などの説明責任が問われそうだ。

 大規模製材工場は2015年4月に稼働した。同年3月時点の事業計画によると、事業主体の征矢野建材(松本市)が、原木から床材や造成材を一貫加工。工場を中心に半径50キロの県内産地から「アカマツや広葉樹を主体に、原木で年間約10万立方メートル使用する」としていた。

 同社は今年3月、県森林組合連合会など県内4団体でつくる原木の需給調整組織「サプライチェーンセンター」の関係者に対し、4月21日から12月31日までのアカマツの「受け入れ停止」を文書で通知した。

 信濃毎日新聞はこの文書を入手。征矢野建材は停止の理由について、原木の受け入れと製品の生産・販売の「バランスが大きく崩れてしまっている」と説明。曲がりが強いアカマツの取り扱いや、雨の多い時季にアカマツが青く変色する「青かび」(青変)への対応の難しさなどから、製品化に時間がかかったとした。「積極的な営業展開ができなかった」と販路開拓の不十分さにも言及している。

 同社は取材に、実際には通知後の6月以降にアカマツの受け入れを停止している―と説明。理由は明らかにしておらず、再開時期などは「10月のサプライチェーンセンターの会議で説明する」とする。製材工場では、アカマツ以外に県内産のカラマツやヒノキの原木も加工しており、これらの原木の受け入れと加工は続けているとした。

 県林務部県産材利用推進室によると、サプライチェーンセンターから製材工場には、15年度に約3万6千立方メートル、16年度に約3万立方メートルの原木が供給された。ただ、アカマツを含め、どれだけ製材が行われたかは明らかにしていない。

 同室は取材に「これまでも青変への対応などでアカマツを受け入れないことはあった」としつつ、停止が12月まで長引くと、林業者に影響が出る可能性があるとする。「一刻も早い回復と、全量でなくても受け入れられる見通しを示すよう征矢野建材に要請している」としている。

(9月2日)

長野県のニュース(9月2日)