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温厚な人柄で知られた故・羽田孜元首相が憤りをあらわにした時期がある。1998年、自由党を率いた小沢一郎氏が自民党と連立政権で合意したときだ。民主党幹事長として代表質問に立つと「志はどうしたのか」と厳しく批判した

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同じ田中派で鍛えられた当選同期の小沢氏とは兄弟のような間柄。「自民に代わる政治勢力がないことが問題だ」と話し合い、自民党を離脱。以後、羽田氏は新生党から民主党まで五つの党の創設にかかわりながら、二大政党制の実現という志を貫いた

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普及しなかった半袖スーツを愛用し続ける頑固さに重ねて「おれは省エネルックと二大政党制は一生やめないぞ」とも語ったという。なぜ政権交代可能な勢力が必要なのか。先の加計学園問題や共謀罪法案の審議で、丁寧に説明せず押し通した安倍政権の姿勢から痛感させられる

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8年前の政権交代で定着するかに見えた二大政党制。自らのつたなさが招いたとはいえ、1強多弱の今となっては夢なのか。きのう民進党新代表に選ばれた前原誠司氏は「自民党しか選ぶものがない危うい状況は変えねばならない」と決意を述べている

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安倍政権の支持率が下がっても民進党の支持につながりにくい。教育無償化、同一労働同一賃金、介護離職ゼロ…。自分たちの本領である政策を繰り出す政権に、対立軸を示すのは容易ではない。けれど野党であっても国民の耳に痛いことも語ってほしい。それが信頼回復の道ではないか。

(9月2日)

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