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トマト育て根羽元気に 水耕栽培導入「若者の雇用生みたい」

トマトの生育状態を見る小林さんトマトの生育状態を見る小林さん
 長野県下伊那郡根羽村生まれの小林智雄さん(26)が今春、村にUターンして農園を開き、大学で学んだトマトの水耕栽培を始めている。「村で新たに就農した人は10年以上いなかった」と村振興課。人口945人、65歳以上の占める割合が半分を占める同村で、若者の雇用を生み出し、再び活気のある古里にしたい―と挑戦している。

 トマト2400株が、約10アールのビニールハウスの中にずらりと並んでいる。張り巡らせたホースから、小林さんが配合した肥料を混ぜた水が、ぽたり、ぽたりと根元に垂れる。ピンポン球ほどの大きさに育ち、真っ赤に熟したトマトを、小林さんが次々もぎ取っていく。農園の作業は全て1人で担う。

 中学卒業まで村で育った。飯田高校に進学したが、車で1時間以上かかる飯田市に通うのは難しく、初めて村を離れて下宿した。高校卒業後の進路を決める時、村で将来生かせることを勉強したいと、静岡大(静岡市)農学部を選んだ。「こんな田舎だから農業しか思い付かなかったんです」と冗談めかす。

 大学ではトマトの水耕栽培を研究。肥料の組み合わせや濃度を変えることで生育が違ってくるのがとにかく面白かった。トマトの生産性や単価の高さを知り、「これなら根羽村でもできるかもしれない」と思った。

 大学卒業後、静岡市のトマト農家で1年間研修。その後、静岡県内の農業法人に入社した。トマト栽培に当たった1年目、苗を病気で駄目にしてしまった。収穫量はわずか。失敗した悔しさが心の奥から湧き出た。本気でトマトに向き合い、3年目には後継者を育てられるまでになり、独立する自信が付いた。

 10年ぶりに戻った根羽村は閑散としていた。若者がほとんどおらず、遊休農地が増えているように感じた。若者の力を何とか村に呼び込みたいと思い、農地を借り、ハウスを建てた。

 小林さんが出荷するトマトは1キロ当たり400〜500円。糖度や品質が高いトマトは倍以上の値段で売れるため、肥料の組み合わせを変えるなどして高品質化を狙う。また、同村は昼夜の気温差が大きく、トマトに甘みが出やすいことから、都市部との違いが出せるとする。

 今後、ハウスを増やして雇用の場を生み出し、法人化したいと考えている。「根羽で農業をやって稼げるのなら戻ってこよう」と思う若者が出てくることを期待している。

(9月5日)

長野県のニュース(9月5日)