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北朝鮮問題 危機だからこそ対話を

 北朝鮮の核実験強行は、国際社会に大きな衝撃を与えた。米朝間の緊張が高まり、米の武力行使を不安視する声が出ている。

 衝突に至れば、各国の経済や国民生活は深刻な打撃を被る。日本しかりである。

 危機が高まる今こそ、さまざまな対話の回路を整える機会にしなくてはならない。北朝鮮の核問題に関わってきた日米韓中ロによる協議の実現を急ぐとともに、最大の当事者である米朝は威嚇から対話へと軸足を移すべきだ。

 トランプ米大統領は「北朝鮮とビジネスをする全ての国との貿易停止を検討している」と表明した。マティス国防長官は「北朝鮮の壊滅は望んでいないが、そうするための多くの軍事的選択肢がある」と警告している。

 北朝鮮の後ろ盾で、経済的につながりが深い中国やロシアをけん制する狙いがあったようだ。軍事行動も辞さない強硬姿勢を同時に示すことで、米が求める圧力強化に協力するかどうか、踏み絵を迫ったとみていい。

 北朝鮮に核を放棄させるために米政権が最も有効と考えるのは石油の禁輸である。国連安全保障理事会における新たな制裁論議の焦点になる可能性がある。

 中ロは隣に核保有国が誕生することを警戒し、核実験を強く非難した。しかし、北朝鮮の息の根を止めるような制裁は、暴発を招くとして慎重な姿勢だ。

 北朝鮮を巡る利害の対立や思惑の違いが無謀な行為を許すことにつながり、安保理対応は手詰まり感を強める。

 北朝鮮は米本土を狙える核兵器を保有することでしか、米の譲歩を引き出せないと考えているようだ。さらなる弾道ミサイル発射や核実験が行われれば、武力行使が現実味を帯びる。

 米朝とも落としどころが読めないことが挑発やけん制を激化させる要因となってはいないか。危険極まりない状況である。

 こうした中、ドイツのメルケル首相がトランプ氏に対し「平和的な解決しかあり得ないことを明確にする必要がある」と述べ、武力衝突を避けるために力を尽くす考えを示した。

 事態の深刻さが、欧州にも伝わっていることを物語る。今月中旬から国連総会が開かれる。国際社会が結束して解決すべき課題との認識を広く共有する場にしなくてはならない。緊張がエスカレートし、手遅れになる前に交渉の席に着くよう、各国は米朝の背中を押してもらいたい。

(9月5日)

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