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遺族ら消えぬ悲しみ 県防災ヘリ墜落事故から半年

墜落現場で手を合わせる小口さんの母(左から3人目)と遺族ら=5日午前10時42分、松本市入山辺墜落現場で手を合わせる小口さんの母(左から3人目)と遺族ら=5日午前10時42分、松本市入山辺
 搭乗者9人全員が死亡した県消防防災ヘリコプター「アルプス」の墜落事故は5日、発生から半年。松本市入山辺の墜落現場には遺族や消防関係者が訪れ、悲しみを新たにした。登山道を外れて現場に下る斜面は険しく、登山道や慰霊の場所の整備を求める声も。原因究明は道半ばとし、事故の検証を強く求める遺族もいた。

 登山道を外れて墜落現場へ向かう斜面には、月命日などに登ってきた遺族や同僚が踏み固めてできた「道」が通る。機体が回収された斜面は今も黒い地面がのぞいている。

 午前10時半ごろ、犠牲になった松本広域消防局(松本市)派遣の小口浩さん=当時(42)=の遺族10人が県職員の案内で到着。花を供えて手を合わせると、おえつを漏らす人もいた。

 初めて現場を訪れた小口さんの義弟、武田勝義さん(49)=東筑摩郡朝日村=は「6カ月は早かった。こんな急な所とは思わなかった」。ストックを手に登ってきた小口さんの母(67)は「大変だったが来ることができてうれしい。今後もここに来たいので、きちんと通れる道があればありがたい」と話した。

 同消防局派遣の高嶋典俊さん=当時(37)=の父俊郎さん(67)は7月の月命日に現場を訪れ、「どこを通ればいいのか不安になった」とする。この日の慰霊は都合でかなわなかったが「現場の雰囲気や様子など、そこに行ってこそ分かることがある」と整備を願う。

 2010年7月に5人が死亡した埼玉県の防災ヘリ墜落事故では、消防職員有志らが募金を集めて現場近くに慰霊碑を建立している。長野県消防課の花岡徹課長は「遺族の要望があれば職員による案内や地図を渡すなどの対応をしている」とし、登山道などの整備については「遺族にはまだ慰霊する段階ではないとの声もあり、現段階で検討していない」とした。

 現場には、滝沢忠宏さん=当時(47)=と伊熊直人さん=同(35)=の派遣元長野市消防局の山岳愛好会の23人も訪れた。成沢泰則さん(37)は、現場に草木が生えるにつれて事故が風化していくように思え、「寂しいものもある」と語った。

 一方、上田地域広域連合消防本部(上田市)派遣の甲田道昭さん=当時(40)=の父明さん(67)は上田市内の甲田さんの墓を妻と訪れた。「亡くなった隊員は救助活動に誇りを持ち、一生懸命仕事をしてきた人たちだと思う」と明さん。県が防災ヘリの運航再開を検討していることに触れ、「事故はいろいろな要素が重なって起きたのだと思う。原因をしっかり調べ、教訓にしてほしい」と願った。

(9月6日)

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