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移民強制送還 人道の観点から救済を

 子ども時代に親に連れられて米国に不法入国した若者の強制送還を猶予する措置を打ち切る―。トランプ米大統領が発表した。

 ヒスパニック(中南米系)を中心に対象者は約80万人に上る。強制送還が実行されれば家族が離れ離れになったり、職が奪われたりする。

 全米各地で抗議デモが行われ、批判が噴出している。トランプ氏は打ち切り表明と同時に、議会に対応策を練るよう求めた。米議会は人道を最優先に、若者たちを救済してもらいたい。

 トランプ氏は昨年の大統領選で猶予措置の撤廃やメキシコ国境での壁建設など、厳しい不法移民対策を進めると訴えてきた。移民の存在感が強まることを快く思わない白人層に支持され、大統領の座を射止めたといってもいい。

 イスラム圏からの入国規制や、不法移民に寛容な都市への補助金停止は司法に差し止められた。公約実現がつまずく中、あきらめない姿勢を支持層にアピールする狙いがあったとみられる。

 猶予措置は、移民に寛容だったオバマ前大統領が導入した。16歳になる前に連れてこられ、2012年6月の時点で31歳未満であることや、深刻な犯罪歴がない若者が対象となった。

 現在、10代半ばから30代半ばとなり、米社会に根を下ろしている若者が多い。IT企業の経営者らは「私たちの社会や経済に貢献している」などと強く反発。大学からも抗議の声が相次ぎ、ハーバード大は影響を受ける学生への支援を約束した。

 トランプ氏は混乱を最小限にすると強調し、猶予措置をすぐに撤廃せず、半年間は続ける方針を表明した。若者が引き続き滞在できるかどうかなど、処遇に関する法律を来年3月までに制定するよう議会に求めている。

 野党民主党は「若者の夢を裏切る行為」だと強く反発しているものの、大統領を支える共和党では不法移民への対応策を巡り意見が大きく割れている。若者たちの救済法案がスムーズにまとまるかどうか予断を許さない。

 強制送還が始まれば、米国社会は混乱し、分断がより深刻化するだろう。オバマ前大統領は「不法移民の子を守る超党派の提案は、結局私の元には届かなかった」と述懐している。

 そもそも議会が対立、衝突を繰り返してきたことに根がある。人権擁護の観点から超党派で取り組むべき課題だ。移民国家の歴史を忘れず、審議を急いでほしい。

(9月8日)

長野県のニュース(9月8日)