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斜面

「虚構新聞」は「本当のような作り話」を掲載する人気サイトだ。例えば「安倍内閣支持率100%で横ばい―内閣府調査」。偏りがある報道各社の世論調査と違い内閣府が「公正公平な方法」で行っているそうだ。風刺が効いている

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ジョークの世界だから笑える。だが悪意から捏造(ねつぞう)したフェイクニュースは罪深く、笑えない。昨年の米大統領選では「ローマ法王がトランプ氏支持表明」などの偽ニュースが拡散した。クリントン氏に不利な内容が多く、トランプ陣営を利したとされる

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国際政治学者の遠藤乾(けん)さんが中央公論5月号に書いていた。英紙の検証記事によれば、フェイスブックなどの「いいね!」で集められるデータや心理分析から個人の特性をつかむ。それに合う偽のニュースや評論に誘導して不安や怒りに形を与え、特定の投票行動を促せるという

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トランプ支持の経営者が影響力を持つ会社が関わったとされる。ツイッターの拡散もコンピューターで自動化した。フェイクニュースとは、人工知能を使って政治的帰結を企図し一人一人の有権者に照準を合わせて打つプロパガンダに他ならないという

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民主主義が危うい。どう立ち向かうか。米国の既存メディアは息を吹き返し主要紙が購読者を増やしている。新聞は紙の手触りとともに仮面(うそ)が隠す素顔(事実)を届けたい。新聞週間の代表標語は「新聞で 見分けるフェイク 知るファクト」。読者の信頼が背中を押してくれる。

(9月8日)

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