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蜂の巣薫蒸中に出火  千曲・松田館 

多くの建物が焼け落ちた松田館。中央右は焼け残った主屋の一部=7日午後1時50分、千曲市八幡多くの建物が焼け落ちた松田館。中央右は焼け残った主屋の一部=7日午後1時50分、千曲市八幡
 千曲市八幡の武水別(たけみずわけ)神社の神主・松田家に伝わる屋敷「松田館(やかた)」で6日夜に県宝の「主屋(おもや)」など複数の建物が焼失した火災で、煙を吸って病院に搬送された近くの男性が出火当時、発煙する器具を使って蜂の巣を薫蒸していたことが7日、捜査関係者への取材で分かった。現時点で他に火の気は確認されていない。男性は「蜂の巣の撤去作業をしていて引火した」と話しており、千曲署などが調べている。

 同署と千曲坂城消防本部は同日午後も現場を実況見分。ともに県宝の主屋と「斎館」、いずれも市有形文化財の「料理の間」「新座敷」「味噌(みそ)蔵」の計5棟が全焼したと判明した。焼損面積は計約550平方メートル。

 市教委によると、蜂の巣は直径40〜50センチで、主屋の軒先で6日昼に見つかり、男性に撤去を依頼していた。

 国立歴史民俗博物館名誉教授で千曲市文化財保護審議会の井原今朝男会長(長野市)が7日、現場を訪問。井原会長によると、戦後、神道の衰退とともに維持されなくなる神主の屋敷が全国で目立ったが、松田館は「大頭祭などの大きな祭りを通じ、地域を挙げて神社を守ってきたから残った」という。全国でも数少なく、火災は「残念極まりない」と話した。

 火災を受け、県教委文化財・生涯学習課は7日の県文化財保護審議会で、県宝の所有者に対して火災への注意喚起を行うと説明した。同課によると、県宝は松田館を含め230件。建造物は73件、美術工芸品は157件。県内では1999年に諏訪市の法華寺が放火され、県宝の木造釈迦(しゃか)如来坐像が焼失した例がある。

(9月8日)

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