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店頭資源物回収 思わぬ余波 県内各地で増加

古紙や缶などの回収装置を置いた長野市の綿半スーパーセンター長池店。休日には客が列をつくることもある古紙や缶などの回収装置を置いた長野市の綿半スーパーセンター長池店。休日には客が列をつくることもある
 古紙や缶、ペットボトルなどの資源物を店頭で回収する民間事業者が県内で目立つようになった。買い物ついでに出せる手軽さなどが受けており、誘客策の一つとして重視する事業者もいる。この余波で、これまで回収の主役だった自治体の回収量が各地で減少。資源物の売却益が原資の事業が縮小したり、リサイクル率などの数値が把握できなかったりといった影響も出始めた。民間の回収量の把握が進んでいないためで、自治体側は政策の見直しを迫られている。

 県内のスーパーや量販店などでは近年、買い物客がペットボトルや缶などを手に来店するのは見慣れた光景だ。長野市内の量販店を訪れた男性は、「以前は缶やペットボトルをごみとして捨てていたが、店に持ってくるようになった」。30代女性は「買い物のついでに出せて便利」と話した。

 綿半ホームエイド(長野市)は、展開する県内外18店のうち17店の店頭に資源物回収コーナーを設置。ポイントをためると商品券がもらえる「ブルーカード」のポイントを、資源物の量に応じて付与する装置を置く。1日の利用者が約400人に上る店もあるといい、「客が来店する大きなきっかけになっている」とする。

 資源物を専門に取り扱う業界でも「店頭回収」の動きが。総合リサイクル会社しんえこ(松本市)は2012年に、本社工場の敷地内で回収を開始。現在は古紙や金属類などを無料で受け入れる規模の大きな「もったいないBOXステーション」を安曇野市、東筑摩郡山形村を含め計6カ所置いている。

 松本のステーションを月2回ほど利用するという60代男性は「好きな時間に来て出せるので便利。市の回収は使わなくなった」とする。男性は酒をよく飲むといい、「たまった缶を出すのを近所の人に見られなくて済むのもいい」とも話す。

 同社は資源物の売却益の一部をサッカーJ2松本山雅を支援する山雅後援会に還元する取り組みもしており、サポーターの利用もあるという。今年6月までの1年間の収集量は約3500トン。ステーションを設けた当時の10倍以上に増えたという。

 民間での回収量の増加について詳しい統計はないが、県内自治体は、自治体の回収量の減少がその裏付けとみている。

 長野市では、段ボールや新聞、雑誌など紙類の回収量が07年度、長く続いた1万トン台を割って9735トンとなった。以降もゆるやかに減少し、16年度は5136トンと07年度の半分近くになった。

 松本市では、昨年度の新聞の収集量が1387トンと、10年度に比べて半減した。雑誌や段ボールも半分近く、ペットボトルは4割近く、アルミ缶は約3割減った。民間事業者が回収していない雑びんは約3%の減少にとどまっており、市環境業務課は「民間事業者の回収による影響が大きい」とみる。

 同市は回収した資源物を売却し、町会に回収量に応じた助成金を出してきた。回収量の減少に伴い、昨年度の助成額は2436万円と、10年度のほぼ半額に。同市町会連合会の平林大喬会長は「助成が減り続ければ今後の課題」とする。

 千曲市は昨年度、古紙やペットボトルなどの「資源ごみ」の排出量が3276トンと、10年度比で31%減少。ごみ排出量に占める資源化の割合を示す「リサイクル率」が10年度の26・8%から昨年度19・2%まで低下し、市の目標値(本年度に19・4%達成)を下回った。市廃棄物対策課は民間の回収分を合わせればリサイクル率は下がっていないとみるが、「スーパーなどが回収した量はつかみようがない」。

 「ごみの排出量やリサイクル率を、廃棄物行政の指標として見るのは難しくなっている」「自治体のリサイクル率は国が公表し、全国と比較される。数字だけが独り歩きしてしまう」…。他の自治体からも戸惑いが聞かれる。こうした中、上伊那広域連合は、管内8市町村にあるスーパーや事業所などに協力を求め、民間の回収量の調査に乗り出した。同連合の担当者は「住民の潜在的な資源物排出量を把握しながら、今後を予測して施策を考える必要がある」としている。

(9月12日)

長野県のニュース(9月12日)