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菱田春草作品 2点購入へ 飯田市美術博物館

「鎌倉時代闘牛の図」(1894年)「鎌倉時代闘牛の図」(1894年)
 飯田市出身の日本画家菱田春草(1874〜1911年)の作品の常設展示が30日から始まるのを前に、市美術博物館は12日、15年ぶりに春草作品を購入すると明らかにした。春草の2点と、盟友だった下村観山(かんざん)(1873〜1930年)の1点を計3千万円で購入する方針。いずれも東京国立近代美術館に寄託されていた作品で、常設展示の目玉の一つになりそうだ。

 新購入の作品のうち「鎌倉時代闘牛の図」は、春草が東京美術学校(現・東京芸大美術学部)の画学生時代に描いた。大和絵の様式を土台に、西洋絵画の空間性を取り入れた意欲作で、鎌倉時代の街角のにぎわいを描いている。学内展覧会で2席を獲得しており、現存する春草の出品受賞作の中では最も古いという。

 「水辺初夏(鷺(さぎ))」は、36歳で早世した春草が34歳ごろに描いたとされる。輪郭線の少ない、ぼんやりとした画風「朦朧(もうろう)体」で描いた作品で、色使いの美しさと構図の広がりが印象的だ。観山の「稚児文殊(ちごもんじゅ)」は、観山が世話になった春草の兄、菱田為吉に贈っており、家族ぐるみの交友関係を物語るという。

 昨年3月、作品の所有者から、「春草の故郷にあることがふさわしい」と市美術博物館に有償譲渡の申し出があった。同館は外部研究者らを含む美術品等購入専門委員会で協議し、この評価額を基に所有者との基本合意に至ったという。購入には、市の美術品購入基金を充てる。

 同館は春草作品を30点所蔵しており、購入は2002年に約3億円で購入した代表作「菊慈童(きくじどう)」以来。

(9月13日)

長野県のニュース(9月13日)