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木島平の酒米100%の日本酒 海外で販売へ

「金紋錦」も使った商品「黒帯」を手にする正司副本部長。金紋錦だけで仕込んだ日本酒の海外展開を目指す=金沢市「金紋錦」も使った商品「黒帯」を手にする正司副本部長。金紋錦だけで仕込んだ日本酒の海外展開を目指す=金沢市
 金沢市の老舗酒造会社「福光屋」は、有機栽培された下高井郡木島平村特産の酒米「金紋錦」のみで仕込んだ日本酒を初めて商品化し、海外展開を図る。同社は約30年前に同村で金紋錦の契約栽培を始め、自社製品に採用。農家とともに栽培技術を高めながら希少品種の金紋錦の栽培を維持してきた。100%使用の「オーガニック」商品として欧州など海外市場に売り込む。

 1625(寛永2)年創業の福光屋は、主力の「福正宗」「加賀鳶(とび)」に加え、個性的な日本酒商品も取り扱うマルチブランド戦略を展開。同村の金紋錦と兵庫県産「山田錦」を合わせて使った「黒帯」も人気だが、金紋錦のみの商品はなかった。ここ数年、有機栽培米での試験醸造を続け、向こう1年以内に商品化するめどが立ったという。

 同社は昨年、世界で高評価を得たホテルやレストランでつくる組織「ルレ・エ・シャトー」(本部・パリ)と国内酒造会社では初の契約を結び、加盟先への商品供給を準備している。北米やアジアへの輸出実績はあるが、新商品を足掛かりに欧州進出を目指しており、生産本部の正司和利副本部長は「オーガニックの認知度や人気は高い。仕込みでは試行錯誤したが、ようやく見通しが付いた」と話す。

 同村では1960年代に金紋錦の栽培が始まり、福光屋も73年に取引を開始。だが県内の酒蔵が「美山錦」といった別の酒米を使うようになったほか、栽培が難しいこともあり、金紋錦は生産が途絶えかねない状況になった。

 福光屋は88年、村内での契約栽培と、収穫した全量の買い取りを開始。2005年以降は、化学肥料を一切使わない特別栽培や、無農薬の有機栽培に切り替え、農家と品質向上に取り組んできた。商品化について同社は「農家と二人三脚の取り組みが実を結ぶ」とする。

 村内の酒米の栽培面積は約50ヘクタールで、ほとんどが金紋錦。ながの農協みゆき酒米部会長で、同村の仲間4人と福光屋向けに有機栽培を手掛ける佐藤正市さんは「育苗でも有機培土を使うなど、ここ10年ほど徹底した品質管理を進めてきた。こうした努力も金紋錦が見直される一助になったのではないか」と話している。

(9月14日)

長野県のニュース(9月14日)