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元ゼロ戦パイロット・原田さんの証言、幅広い世代の心に

長野市権堂町の「長野相生座・ロキシー」入り口に飾られた「原田要 平和への祈り」のポスター(手前)。予想を上回る多くの人が鑑賞している長野市権堂町の「長野相生座・ロキシー」入り口に飾られた「原田要 平和への祈り」のポスター(手前)。予想を上回る多くの人が鑑賞している
 長野市権堂町の映画館「長野相生座・ロキシー」で公開中のドキュメンタリー映画「原田要 平和への祈り」は15日が上映最終日となる。戦場体験を語る活動を続け、昨年5月に99歳で亡くなった元ゼロ戦パイロット原田要さん(長野市)の証言を記録した作品への反響は大きく、同館は上映期間を2度延長。幅広い年代の人たちが鑑賞し、「平和について考える機会になった」などとそれぞれに作品を心に刻んでいる。

 原田さんは上水内郡浅川村(現長野市)生まれ。旧海軍のゼロ戦パイロットとして真珠湾攻撃やミッドウェー海戦などに参加した。映画は1時間半で、原田さんへのインタビューを中心に、戦地の過酷な実情や、戦後に幼稚園経営や講演を始めた経緯を描いている。

 鑑賞した同市安茂里の作業療法士野沢祐二さん(32)は、母親の実家が広島で、原爆の爆心地近く。祖父からは戦闘機の機銃掃射を受けた話なども聞き、戦争体験を比較的身近に感じてきた。それでも、映画の中で「やらなければやられてしまう」と語る原田さんに、「あんなに優しそうなのに、人を殺すようになってしまうのか」と戦争の怖さを感じた。

 戦争について若者が話し合うきっかけにしようと、職場で原田さんの講演会開催を考えたが、原田さんが亡くなり実現しなかった。「僕らの世代が原田さんの話をリレーしていかないといけない」と力を込める。

 戦時中、パイロットに憧れていたという同市青木島町の元教員小山実さん(83)は、原田さんの肉声を聞こうと鑑賞。少年時代、原田さんと同様に「何としてでも戦争に行くんだ、という姿勢しかなかった」と振り返る。「戦争体験者が減っている。原田さんの声を若い人にもっと聞いてほしい」と願った。

 上映館は全国で長野相生座・ロキシーのみで、入場者は現在、延べ2800人。同館上映のドキュメンタリー映画では異例の多さだという。上映期間は当初、7月29日〜8月12日だったが、要望を受けて延長を重ねてきた。

 作品の監督を務めたフリーディレクター宮尾哲雄さん(67)=須坂市=によると、20〜30代からも「平和について考える機会になった」といった声が寄せられ、「若い世代が見に来てくれるとは思っていなかった」と驚いたという。元兵士で今も経験を話したがらない人は多く、「つらい体験を含む原田さんの証言は貴重で、重みもある。だからこそ多くの人が共感して見てくれた」と宮尾さん。

 15日の上映は午後3時15分〜午後4時45分。

(9月15日)

長野県のニュース(9月15日)