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五輪開催地 肥大化のひずみあらわ

 肥大化した五輪のひずみはあらわである。夏季2大会の開催都市同時決定は、根本的な問題解決を先送りする窮余の策でしかない。

 2024年大会をパリで、28年大会をロサンゼルスで開くことを、国際オリンピック委員会(IOC)が正式に決めた。ほぼ1世紀ぶりという異例の決定は、五輪の存続に直結する深刻な危機が裏側にある。

 それを顕著に示すのが、招致を取りやめる都市が相次いだことだ。24年大会には5都市が名乗りを上げていたが、ハンブルク、ローマ、ブダペストが辞退した。

 五輪憲章は、大会の7年前に開催都市を決めると定めている。11年後の28年大会のことを決めるのはまだ早い。ただ、その段になって手を挙げる都市がなければ、五輪は行きづまる。そこでIOCの取った策が、最後まで残った2都市を振り分け、28年の開催地も同時に確保することだった。

 辞退した都市はいずれも、住民の多数が開催に反対する意思を住民投票などで示した。巨額の財政負担への懸念が最大の理由だ。

 84年のロサンゼルス大会以降、商業主義化が本格的に進み、高額なスポンサー協賛金やテレビ放映権料によって五輪は拡大成長してきた。けれども、大会の肥大化は同時に開催経費の高騰を招き、開催する都市や国に大きな負担がかかるようになっている。

 04年のアテネ大会は、ギリシャが財政危機に陥る一因になった。14年のソチ冬季大会は、総経費が5兆円規模に達している。昨年のリオデジャネイロ大会も開催費は1兆5千億円余に膨らんだ。

 20年の東京大会も、予備費を除いて1兆4千億円近くに上る。招致時の見込みを大幅に上回り、財源を全て確保できてはいない。

 IOCは負担軽減のための改革方針を打ち出してはきた。夏季大会は種目数310、選手数1万500人という上限を設けている。ところが、東京大会の種目数は339とそれを上回る。肥大化は依然止まりそうにない。

 平和、連帯、公正といった五輪憲章に掲げる理念が、商業主義の陰にかすんではいないか。開催に市民が反対し、招致の辞退が相次ぐ中で、五輪の存在意義があらためて問い直されている。

 2大会の同時決定で当分は危機を回避できても、事態の根本は変わらない。IOCは、開催する都市がなくなりかねない現実を見据え、改革の確かな道筋をつけなくてはならない。東京五輪をその一歩にできるかが試される。

(9月15日)

長野県のニュース(9月15日)