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衆院選と9条 自民公約に厳しい目を

 自民党が憲法9条に自衛隊を明記する案を含め、改憲4項目を衆院選公約に盛り込む方向で検討に入った。

 4項目について党内の議論はまとまっていない。生煮えの案を書き込むのは政党として無責任すぎる。自民の公約づくりに厳しい目を注ぎ続けなければならない。

 9条への自衛隊明記は安倍晋三首相が5月の憲法記念日に突然打ち出した。戦争放棄の1項、戦力不保持と交戦権否認の2項はそのままにして、自衛隊の存在を書き込むのだという。

 自衛隊は安保法制により専守防衛の枠をはみ出る存在になっている。9条に書き込めば戦争放棄の理念は空洞化する。容認できる話ではない。

 9条以外の改憲項目もそれぞれ問題を抱える。教育無償化は財源確保のめどが付かない。緊急事態条項は政府権限を肥大化させ国民の権利が制約される危険をはらむ。参院選の「合区」解消は国会の在り方の根本に関わる。

 4項目を巡り自民党内の議論はばらばらの状態だ。特に9条については、戦力不保持、交戦権否認条項の削除をうたっている2012年の自民改憲草案と、首相の憲法記念日メッセージとの整合性を問う声が収まらない。

 そんな状態の中で、どうやって4項目を選挙公約に書き込もうというのか。

 保岡興治・党憲法改正推進本部長は「議論の状況を(公約で)紹介したらどうかと思っている」と述べている。無責任な発言だ。

 公約集に項目を並べておき、選挙で自民が多数を確保したら「国民の信任を得た」として改憲手続きをさらに前に進める―。そんな思惑があるとすれば、有権者軽視も甚だしい。

 そもそも今は衆院を解散して国民の信を問わなければならない緊急課題は存在しない。本来なら臨時国会で森友・加計問題の審議を重ね、政権の信頼性をたださなければならない場面である。

 それなのに首相は臨時国会冒頭で解散しようとしている。国政運営が行き詰まっているわけでもないのに議員の首を切るのは、解散権の乱用そのものだ。疑惑隠しと言われても仕方ない。

 首相は加えて、消費税率を10%に引き上げる際に使途を組み替え教育財源を拡充する案を公約に入れ込もうとしている。借金返済を先送りする人気取り政策だ。

 本当に国民のことを考える政党はどこか、有権者の眼力が問われるときが間もなくやってくる。

(9月21日)

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