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森林税「継続」 原点に立ち返るべきだ

 本年度で2期目の課税期間を終える森林づくり県民税(森林税)を今後どうするのか。阿部守一知事はきのうの県会で、来年度以降も5年間継続させる方針を表明した。

 森林税は、使い切れずにたまり続けていることが問題になっている。これに対し、知事は税率をそのままにして、街路樹や学校林の整備、児童センターの木質化などに使途を拡大する方針を示した。

 間伐(間引き)による森林整備を緊急に進めるという税創設時の目的から外れた使い方になる。

 年間に個人は500円、法人は資本金などに応じて千〜4万円を県民税に上乗せ課税している。

 戦後一斉に植林された人工林が60年生を迎えるころまでに間伐を行わなければ、森林の多面的な機能が発揮できなくなる。そのため国の補助事業ではカバーしきれない里山の整備を進める必要がある―。村井仁前知事時代の2008年度に新税を導入するに当たって県が説明した理由だ。

 5年の期限だったが、阿部知事がさらに5年継続させた。

 当初から間伐面積の目標に実績が追いつかず、余った税金が基金として積み上がってきた。残高は来年度当初で6億円に達する見込みだ。1年間の税収総額にほぼ相当する。

 県は国の補助制度の変更で零細な森林が補助対象外になったことや、所有者や境界が不明で集約化が進まないことを理由に挙げる。ならばその壁をどう乗り越えるか筋道を示すべきだ。

 そもそも独自課税を国の補助の県負担分に使うことに問題がある。税率を下げ、県民負担を減らすのが合理的―。森林税の存廃を検討した専門家らの地方税制研究会も指摘している。

 思い出してほしい。税導入の2年前に大規模な土石流災害が岡谷市で起きた。県は防災上も緊急に森林整備が必要と、県民に新たな負担を求めたのだ。

 それでたまった税金を別の目的に使っていいのか。街路樹などの整備が県民に超過の負担を課すほどの緊急性も見当たらない。

 研究会がまだ審議中の6月、知事は「継続を視野に今後の方針を定める」と県会で表明している。「ゼロベースで検討した」というが、継続ありきで進めたと見られても仕方がない。

 国が「森林環境税」の創設を検討している。森林税はいったん終了し、国の動向も踏まえ森林整備のあり方を根本から見直し、県民の合意形成を図るべきだ。

(9月22日)

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