長野県のニュース

大正の建物、解体に待った 小諸の協力隊員が旧商店購入

旧山崎長兵衛商店内を案内する石川さん。3階建て土蔵(奥)とつながっている旧山崎長兵衛商店内を案内する石川さん。3階建て土蔵(奥)とつながっている
 小諸市の地域おこし協力隊員、石川実さん(42)が、小諸の街なかにある1921(大正10)年建築の「旧山崎長兵衛商店」の建物を買い取り、地域づくりの拠点にしようと準備している。洋風モダンな外観に一目ぼれし、自ら移住するきっかけにもなった建物が解体されると聞いて一念発起。街の記憶を残したいと願う所有者や有志らの協力も得て、夢を広げている。

 旧山崎長兵衛商店(同市荒町)は約700平方メートルの敷地に木造2階建ての母家や3階建ての土蔵など5棟がある。母家は外観をモルタルで石造り風に仕上げ、細部の意匠にも大正ロマンの薫りが漂う。隣で総合繊維品卸を営む7代目社長の山崎文明さん(72)によると、「先代は仕事3割、庭と家造りが7割の人だった」というほど丁寧に使ってきたが、10年ほど前から物置代わりになっていた。

 石川さんは横浜市出身で、長く携帯電話会社に勤務。「街や地域の人と協力して進められる仕事がしたい」と協力隊を志した。勤務先を長野県に絞り、小諸市を歩いていた2月、この建物が目に入った。「こういう古い建物が残る街に住みたい」と4月に赴任し、建物のはす向かいのマンションに入居した。ところが6月になって、建物が取り壊され、コンビニエンスストアになると聞いた。

 慌てた石川さんは販売価格3500万円を工面しようと、地元の知り合いなどに買い取りができないか相談。山崎さんにも売却を思いとどまってもらえるよう直談判を重ねたという。熱意にほだされた地元の会社役員ら数人が買い取り資金の約7割を貸してくれることになり、石川さんが購入することで落ち着いた。

 「小諸の歴史的な宝。無くしてはいけないと相当必死でしたね」と石川さん。一時は存続を諦めていた山崎さんも、代々大切にしてきた愛着のある建物が残ることになり、「ほっとした」と話す。

 建物は、開業を目指す人向けの「チャレンジショップ」や飲食店、住民の交流拠点などとして活用する構想。小諸には他にも所有者の高齢化などで維持が難しくなっている古民家が多い。石川さんは「古い建物を次代に引き継ぐ一つのモデルになるよう努力したい」と張り切っている。

(9月22日)

長野県のニュース(9月22日)