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苦境に陥った時に受けた「恩」は胸に染み入る。いつか報いたいと思う。BCリーグ信濃グランセローズ監督の本西厚博(あつひろ)さんは現役時代、阪神を自由契約になった。引退も考えたが、日本ハムに移籍がかない現役を続けることができた

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手を差し伸べたのが当時日ハム編成部長だった三沢今朝治さん、今は信濃の球団会長だ。本西さんは監督就任を要請された2年前、三沢さんを胴上げして恩返しをしたいと引き受けた。その三沢さんの体が宙に舞った。チーム創設11年目の初優勝である

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62打点を挙げ貢献した大平成一内野手も日ハムを退団後三沢さんに誘われた。「恩返しを少しは果たせたのでは」と語っている。勢いに乗った信濃は、前期優勝の富山との西地区チャンピオンシップに2連勝し地区優勝を決めた。苦境の長いトンネルを抜けた先に広がった青空だ

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最下位でも、マジックが点灯しながら優勝を逸した時も、応援を続けたファンがいる。地区優勝の時は伊那谷から駆けつけた69歳女性がグラウンドに千羽鶴を投げ入れた。三沢さんは常々口にしていた「ファンへの恩返し」ができ、安堵(あんど)したことだろう

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練習拠点の中野市営球場で今日、リーグ優勝を決める第1戦が行われる。近くのスポーツ用品店には熱心なファンが立ち寄る。試合を観戦できない店長の高橋敏子さん(69)はいつもその報告が楽しみだ。「皆の思いが実った」初優勝からさらに頂点へ。コイのように滝を登ってと願っている。

(9月23日)

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