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ロヒンギャ迫害 スー・チー氏に重い責任

 ミャンマーの少数民族、ロヒンギャに対する迫害や差別に、国際社会から非難の声が高まっている。

 事実上の政権トップであるアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相は、平和的な手段で解決を目指すと表明したものの、具体策を示さなかった。自分が深く関わるのを避けているようにみえる。

 こんな姿勢では、平和と安定は実現しない。スー・チー氏は抜本的な解決に向け、本腰を入れなくてはならない。

 イスラム教を信じるロヒンギャはミャンマー西部で古くから暮らしてきた。1970年代後半、当時の軍事政権による迫害が激化。国民の9割を仏教徒が占めていることを背景に、政府は不法移民とみなして差別的な対応を続け、衝突が続いている。

 今回は8月下旬、ロヒンギャの武装集団が警察や軍の施設を襲ったことが引き金となった。軍が村を焼き打ちするなどし、多くの犠牲者が出ている。暴力から逃れるため40万人以上が難民化してバングラデシュに脱出した。

 国連のグテレス事務総長が軍事行動の停止を訴え、国連人権理事会はミャンマーに調査団受け入れを求めた。「民族浄化」と批判を強める国も出ている。

 これに対し、スー・チー氏は「全ての人権侵害を非難する」と演説し、調査受け入れも含め、解決に取り組む姿勢を示した。

 一方、演説では治安機関による迫害を否定した。ロヒンギャを正式に自国民とするための市民権付与といった具体策に踏み込むこともなかった。宗教対立を緩和する内容とは言えず、国際社会に失望の声が広がっている。

 スー・チー氏が軍事政権による自宅軟禁から解放され、新政権が発足して1年半。ミャンマーの民主派は国軍に特権を与えている憲法の改正を目指している。それを達成するには3年後の総選挙に圧勝する必要がある。

 ロヒンギャ問題で国民の支持を失えば、民主化の取り組みがつまずくと考えているようだ。スー・チー氏が深入りできない大きな理由といわれている。

 ロヒンギャに対する差別の歴史は長い。政府が問題の棚上げを続けていれば、世界各地のイスラム教徒からの反発は強まるだろう。治安は一層悪くなり、和解そのものが難しくなる。

 スー・チー氏に贈られたノーベル平和賞の剥奪を求める声まで出始めた。対応が難しくとも、正面から向き合ってもらいたい。

(9月25日)

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