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水引の魅力 ねじって発信 飯田

スパイラル水引で作った装飾品や正月飾りを手にする小松さん(左)と野々村京子さんスパイラル水引で作った装飾品や正月飾りを手にする小松さん(左)と野々村京子さん
 飯田下伊那地域の伝統工芸「水引」を製造する野々村水引店(飯田市松尾清水)が、複数の水引をらせん状にねじり合わせた「スパイラル水引」を開発した。通常の水引と比べて強度が高く、豪華さやボリューム感もある。服やバッグ、大型オブジェ、屋内装飾といった新しい分野での活用につなげ、水引の魅力を国内外に発信したい考えだ。

 同社が製造しているのは、紙をよったひもを、染色したり、糸や箔(はく)でコーティングしたりして仕上げた「生水引(なまみずひき)」と呼ばれる素材。結納品やのし袋などに加工する前の状態だ。水引業者が集積する飯田市でも生水引を製造する業者は数少なく、地元への卸しを中心に事業展開してきた。

 スパイラル水引は、2本以上の生水引を機械でねじり合わせて作る。技術的には9本まで組み合わせることが可能で、最大で直径4ミリほどの太さになる。もともと「切れにくい」とされる飯田水引の強度や耐久性をさらに高めたという。さまざまな色を組み合わせることもできる。

 開発は2年前、社長の野々村義之さん(43)と妻の京子さんが、見慣れない機械3台を倉庫で見つけたのがきっかけ。先代社長の故・野々村義男さんが、複数の生水引をねじり合わせるアイデアを実現するために作った機械だった。義男さんは正月飾りへの利用を構想していたようで、製品化には至らず、機械は倉庫に眠ったままになっていた。

 国内の水引需要は、冠婚葬祭の簡略化などで右肩下がりの現状。二人は「今までは卸しばかりだったけれど、これなら新しい販路を広げられる」と製品化を決意。機械を修理し、新商品開発を支援する県の補助金も使って、スパイラル水引を完成させた。

 スパイラル水引を使った商品作りは、飯田市出身の水引デザイナー小松慶子さん(33)=東京=に協力を依頼。ブレスレットなどの装飾品から着手した小松さんは「手作業では生水引を9本もねじり合わせることはできない。今までより大きくて複雑なものが作れる」と可能性を話す。

 現在、ライン生産化の準備を進めており、来年には販売を始めたい考え。飯田市内に建設予定のリニア中央新幹線県内駅のコンコースの装飾に水引を活用する構想があり、京子さんはスパイラル水引が使われることを期待している。「飯田水引の魅力を世界中に広げたい」と話した。

 9月30日と10月7日には、小松さんを講師に、スパイラル水引でブレスレットや正月飾りを作るワークショップ(体験型講座)を開催。飯田市追手町の三宜(さんぎ)亭本館駐車場に特設ブースを設け、午後1時と3時からの2回開く予定で、参加者を募集している。9月30日の午後1時の回は定員に達し、締め切った。受講料2千円。申し込み、問い合わせは野々村水引店(電話0265・22・4707)へ。

(9月26日)

長野県のニュース(9月26日)