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あの人を思い 山へ祈り 御嶽山噴火 山びこの会慰霊祭

野口泉水さんが亡くなった御嶽山山頂を見つめ、笑顔で今の思いを話す妻の弘美さん(右)=26日午後3時29分、王滝村の田の原遥拝所野口泉水さんが亡くなった御嶽山山頂を見つめ、笑顔で今の思いを話す妻の弘美さん(右)=26日午後3時29分、王滝村の田の原遥拝所
 犠牲者58人、行方不明者が5人に上った2014年9月の御嶽山(長野・岐阜県境、3067メートル)の噴火災害から27日で3年になるのを前に、被災者家族らでつくる「山びこの会」は26日、木曽郡王滝村で慰霊祭を開いた。遺族や行方不明者の家族、村民有志ら約40人が出席。3年前の噴火の日と同じように紅葉に染まり始めた御嶽山を仰ぎながら祈りをささげた。

 慰霊祭は御嶽山登山道の7合目付近にある田の原遥拝(ようはい)所で開催。遺族らが「今年も来たよ。みんな元気だからね」など、思い思いの言葉を丸い木製のメッセージ板に書き込んで供え、山に向かって犠牲者らの名前を呼び掛けた。

 犠牲になった野口泉水(いずみ)さん=当時(59)=の妻、弘美さん(59)=北安曇郡池田町=は泉水さんの緑色の登山ヤッケを着て参加。「みんなに支えられて生きているよ。大丈夫だから、もう少し頑張ってみるね」。笑顔で呼び掛けた後、傍らの村民と抱き合い、涙をこぼした。

 愛知県一宮市の丹羽真由美さん(53)は、長女の由紀さん=当時(24)=が命を落とした。「由紀ちゃん会いたいよ」。最愛の娘を思って泣き叫んだ。

 由紀さんは、婚約者だった同市の所祐樹さん=当時(26)=と山頂付近で噴石に襲われ、共に亡くなった。祐樹さんの父親、清和さん(55)は「2人でうまくやっているか。こっちは大丈夫だから」。そう呼び掛けた後、声を詰まらせた。

 慰霊祭では、村民有志を代表し、地元で民宿を経営する小谷洋子さん(64)が「二度とこのお山で噴火災害の犠牲者を出してはならないと、日々唱えています」とあいさつ。地元住民が御詠歌(ごえいか)を唱えたり、参加者でシャボン玉を飛ばしたりした。同村の森寿美恵さん(73)は「遺族と悲しみを共にしたい」と初めて出席し、千羽鶴を手向けた。

 山びこの会事務局代表のシャーロック英子さん(58)=東京都=は「村民有志の皆さんの協力があってこその慰霊祭。今後も地元の方々との交流を大切にしていきたい」。1985年の日航ジャンボ機墜落事故の遺族でつくる「8・12連絡会」事務局長の美谷島邦子さん(70)も、山びこの会との縁で昨年に続いて参加。「人の心の痛みは人の心でしか癒やせない。村民の力を借りるしかない」と話した。

 27日は、王滝村の松原スポーツ公園内に完成した慰霊碑の除幕式と、木曽郡木曽町と王滝村の主催で犠牲者追悼式が開かれる。

(9月27日)

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