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参院格差判決 合区拡大に懸念が募る

 最大3・08倍だった昨年7月参院選の「1票の格差」について最高裁大法廷が「合憲」との判断を示した。

 参院で初めて隣り合った選挙区(県)を「合区」し、最大格差を2013年参院選の4・77倍から縮めて行った選挙である。最高裁は判決で合区を含む格差是正策について、「さらなる是正を指向するもの」と評価している。

 地方から都市部への人口移動により格差は今後も広がっていくだろう。今度の判決を受け、政治の世界では合区で対応する動きが定着する可能性が高い。地方の有権者にとり重大な事態である。

 前回の参院選以来、私たちは社説で合区に反対し、速やかな解消を求めてきた。その理由は、都道府県は暮らしに定着した枠組みだからだ。歴史、風土の違う二つの県を一つの選挙区にすることは県民にとって堪え難い。

 人口の大きな県と小さな県が合区される場合には、小さな方の県からは代表を送り出しにくくもなる。実際、前回参院選で合区された徳島・高知では3人の立候補者がすべて徳島出身となり、高知県民から「親近感が持てない」といった声が聞かれた。同様に島根と合区した鳥取を含め、投票率は過去最低を更新した。

 以前、長野と山梨の合区案が浮上したことがある。長野県民にとってもひとごとでない。

 高裁段階では合憲判決が6件、違憲状態判決が10件出ていた。合憲とする判決は、合区によって格差が縮まったことを主な理由に挙げていた。違憲状態判決は、合区によっても格差が十分縮まっていないことを指摘していた。

 合憲判決も違憲状態判決も合区を肯定的に評価した点は共通する。今度の判決は一連の高裁判決の延長線上にある。

 1票の格差はできるだけ小さいのが望ましいことは言うまでもない。ただ、3年ごとに半数を改選する参院は全議席改選の衆院より格差を縮めにくい宿命がある。

 都道府県の枠組みを維持しつつどの程度までなら格差を許容できるのか―。本来考えなければならないポイントはここだ。

 最高裁もかつて都道府県を単位とする選挙制度には「一定の合理性がある」との見方や、「投票価値の平等は絶対の基準ではない」との判断を示したことがある。

 参院選の格差は参院の役割と関わる問題である。二院制の中でどう位置付けるかを含め、地方の有権者も納得できる制度に向けて国会論議を深めたい。

(9月28日)

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