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相次ぐミス 東電の体質は変わらない

 東京電力の体質は今も変わっていないことが、改めて浮き彫りになった。

 福島第1原発で汚染水が建屋外に漏出した恐れがあることが分かった。5月に8回起きた可能性がある。水位計の設定に誤りがあったことが原因だ。

 実際に漏れたのか、漏れたとしたら量はどの程度なのか、分かっていない。周辺の海域にも影響を与えかねない。詳細な調査を早急に実施しなければならない。

 問題は設定の誤りに4カ月も気が付かなかったことである。汚染水漏れに対する東電の安全意識が問われる。

 第1原発では、炉心溶融(メルトダウン)した核燃料を冷却するため、水を注いでいる。その水は高濃度汚染水となって原子炉建屋などの地下にたまり、さらに流れ込む地下水が汚染水を増やしている。汚染水対策は廃炉工程の重要な課題の一つである。

 問題の水位計は、流入する地下水をくみ上げるため、建屋周囲につくった井戸に設置されている。井戸の水位を建屋地下の汚染水より高く維持して、汚染水が外部に漏れなくするためだ。

 それなのに計48本の井戸のうち6本の設定を誤り、想定より水位が低くなった。このうち1本は、建屋地下の汚染水より水位が2〜19ミリ下がったという。

 第1原発では、8月にも汚染水漏れにつながる地下水の低下があった。水位計が異常を検知したのに東電が水位計の故障と誤認し、地下水位を確認しなかったことが判明している。

 相次ぐミスを招いた原因はどこにあるのか。東電と原子力規制委員会は経緯を検証し、明らかにする必要がある。

 汚染水問題は解決の見通しが立っていない。毎日200トン程度が新たに発生し、多核種除去設備で浄化しても放射性物質の一つ、トリチウムを除去できない。処理水は敷地内のタンクにたまり続けており、タンク数は約580基にも上る。設置スペースには限りがあり、いずれ行き詰まる。

 規制委は柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働審査で、東電に原子力事業者として適格性があるか確認した。27日に公表した確認結果案では「廃炉作業に強い責任感と使命感に基づいて取り組んでいる」などと評価し、再稼働審査に「合格」を出す方向だ。

 ミスが相次ぎ、将来の見通しも立たない状況で、適格性があると判断するのは疑問である。規制委は根拠を改めて説明するべきだ。

(9月30日)

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