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冷戦構造再び 欧州の緊張も見過ごせぬ

 欧米とロシアの対立が深まり、「新冷戦」とも呼ばれる緊張関係が続いている。

 ロシアは先月、ソ連崩壊後に北大西洋条約機構(NATO)に加盟した国々の近くでベラルーシと合同軍事演習を行った。

 NATO側も、ほぼ同じ時期にロシアと国境を接するウクライナで、米軍が参加した軍事演習を行っている。

 米国とソ連の首脳が冷戦終結を宣言して28年近く。当時、ソ連の指導者だったゴルバチョフ氏は「われわれは永続的な平和への道を歩み始めた」と語った。

 現実の国際情勢はその言葉と反対の方向へ突き進んでいるようだ。もどかしさが募る。

 欧州の緊張を一気に高めたのは3年前のウクライナ危機である。ロシアのプーチン政権がウクライナ南部のクリミア半島を強引に編入。東部では親ロシア派勢力と欧米寄りのウクライナ政府との間で紛争が続いている。

 ロシアとベラルーシの大規模軍事演習はテロ対策を名目に実施された。ロシア国防省は参加人数を1万2700人と発表したが、ドイツなどNATO諸国からは実際は10万人規模ではないか、との見方が示されている。

 バルト海に面したロシアの飛び地、カリーニングラード州でも演習は行われ、東欧諸国を中心に懸念の声が広がった。ロシアは7月にバルト海で中国海軍と初めて合同軍事演習を行い、NATO側を刺激したばかりだった。

 カリーニングラードと国境を接するリトアニアのグリバウスカイテ大統領は国連総会の場で「ロシア大統領府は隣国や西方への侵略のシナリオを熟練させている」と批判したほどだ。

 北欧のスウェーデンも今年3月に徴兵制の復活を決め、過去20年で最大規模とされる軍事演習に踏み切った。米国は求めに応じて東欧諸国への米軍部隊の駐留も始めている。欧州ではロシアへの警戒感が強まる一方だ。

 ロシアはなぜ、強硬姿勢を取り続けるのか。ソ連崩壊後、欧米中心の軍事同盟NATOの勢力圏が自国へ迫っていることへの危機感がある。プーチン大統領が米国主導の国際秩序に対抗意識を燃やしていることも大きい。

 欧米とロシアの対立は、北朝鮮の核開発問題など、国際社会が結束して対応すべき課題の解決に暗い影を落とす。軍事演習の応酬は新たな冷戦構造を固定化しかねない。米ロ首脳は緊張緩和の道を模索するべきだ。

(10月2日)

長野県のニュース(10月2日)