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大北事件解明 県会の役割が問われる

 幕引きを図る県に対し、県会がチェック機能を発揮できるか問われる局面だ。

 大北森林組合による14億円余の補助金不正受給事件を解明するため、地方自治法に基づく調査特別委員会(百条委員会)の設置を県会に求める。飯綱町議会がそんな陳情をしたのは昨年9月だ。

 先送りである「継続審査」を続ける県会に対し町議会は先日、改めて陳情採択を求める要望書を可決、提出した。議決を経た陳情を1年間もたなざらしにしている県会への抗議と受け止めるべきだ。

 県が組合の不正受給を公表して2年半以上になるのに未解明な点が多い。とりわけ闇が深いのは県の不正への関わりだ。

 県警の捜査では組合の前専務理事を逮捕し、県の現地機関、北安曇地方事務所(当時)の担当職員だった4人も書類送検した。検査書類にうそを書いたか、前専務と不正を共謀した疑いだ。

 検察は4人に犯行の事実はあるとした。だが、同様の不正をしながら時効で罪に問えない職員がいることなどを考慮し、いずれも起訴猶予にした。裁判にかけなかったことで県と組合のどちらが不正を主導したのか曖昧になった。

 もう一つは本庁林務部の不正の有無だ。前専務の判決で長野地裁は、地事所が林務部から「違法な手段を使っても予算を消化するよう迫られていた」と指摘した。

 ところが県は損害賠償請求の対象を現地職員に限定し、責任問題を決着させている。

 百条委は関係者の証言、記録の提出を要求できる。正当な理由なくこれらを拒んだり、虚偽の証言をしたりすれば罰則が科される。

 真相を解明するには、こうした強い権限を持つ委員会で県職員らの証言を求めることが欠かせない。市民団体も陳情している。

 担当する県会農政林務委員会は昨年9月からことし6月まで4定例会続けて継続審査にした。当初は前専務の刑事裁判の行方を見極めるのが理由だった。

 3月に判決が出て確定した。すると、6月県会では「(百条委ではなく)当委員会で真相究明するのが第一義」などと継続の理由を変えた。ならば問いたい。「当委員会」で未解明部分が少しでも明らかになったのだろうか。

 地方自治法が百条委の規定を設けたのは、議会が行政運営を厳しくチェックできるようにするためだ。本来なら県会自らが提案し、設置すべきだ。この9月定例会でも先送りするなら、県とのなれ合いと見られても仕方がない。

(10月2日)

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