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カタルーニャ 泥沼化させてはならない

 スペインが1975年の民主化以降、最大の政治危機に陥る恐れが出てきた。

 スペイン北東部のカタルーニャ自治州政府が、分離独立を問う住民投票を実施した。中央政府の反対や憲法裁判所の違憲判断を無視しての強行である。

 プチデモン州首相は「われわれは共和国として独立する権利を手に入れた」と主張した。一方的に独立を宣言すれば中央との間で深刻な対立を招き、経済や社会が混乱するのは必至だ。

 一方で、州首相は独立問題に関し、欧州連合(EU)に交渉の仲介を求めた。結束が揺らぐ欧州の今後を左右する問題である。各国は事態を泥沼化させぬよう、手だてを尽くさねばならない。

 州政府は、住民投票には有権者530万人のうち226万が投票し、賛成票は約90%を占めた、との暫定結果を発表した。有権者の半数を占める反独立派は投票をボイコットしている。

 選挙管理委員会や中立の選挙監視団もないままの投票で、正当性を疑問視する声は多い。

 カタルーニャはバルセロナを州都とし、観光や商工業が盛んな地域として知られる。住民の多くがカタルーニャ語を話し、独自の文化を誇ってきた。

 スペインでは1930年代の内戦後、フランコ総統の独裁政権が各地の特色ある文化や政治的自由を抑圧してきた歴史がある。カタルーニャは北部のバスク自治州とともに民族意識が強く、独立運動は以前からあった。

 その動きを勢いづかせたのが欧州の経済危機だ。中央政府の財政緊縮策への不満から14年にも「民意調査」の名目で、独立を問う住民投票を実施している。州議会は独立賛成派が主流を占め、住民投票に関する法律を先月強行成立させて実施に踏み切った。

 中央政府のラホイ首相は「国家秩序を破壊する犯罪行為」と批判している。司法当局は投票用紙を押収したり、投票に賛同する自治体首長らに出頭を求めたりして圧力をかけたが、投票を止められなかった。住民と警官の衝突で多くのけが人も出ている。対立激化が懸念される事態だ。

 カタルーニャだけの問題ではない。独自の歴史や文化をよりどころとする欧州各地から共感の声が上がる。自立を求める動きは続くかもしれない。力ずくで押さえ付ければ反発が強まるだけだ。民族自治と共生との対立をどう乗り越えていくか。国際社会にも重い問いを投げかけている。

(10月3日)

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