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衆院選に問う 自民の公約 政権党の責任ある姿か

 衆院選に向けた自民党の政権公約は、改憲や「人づくり革命」など6本柱を掲げた。

 党総裁である安倍晋三首相が唐突に打ち出したものが多い。にわか仕立てで具体性を欠く。政権党としての責任が感じられない。

 スローガンは「この国を、守り抜く。」とした。重点項目としては、ほかに▽北朝鮮対応▽アベノミクス推進▽生産性革命▽地方創生―を盛り込んでいる。

 改憲は5月の首相提案を受けた内容だ。「自衛隊の明記」「教育無償化」「緊急事態対応」「参院の合区解消」の4項目を例示しつつ、党内外の十分な議論を踏まえ改正原案を国会で発議し、国民投票を行い、初の憲法改正を目指すとしている。

 9条にどう自衛隊を書き込むのか、党内でも議論はまとまっていない。そもそも自民は2012年の改憲草案で9条を大きく書き換え、「国防軍」保持をうたう。草案支持の声も党内に多く、自衛隊明記には異論がある。これでなぜ公約に盛り込めるのか。

 第2次安倍政権の発足後、国政選挙で改憲を重点項目に掲げるのは初めてだ。これまでは多くの政策の一つとして簡単に触れるだけだった。今回、時期は明示していないものの、選挙が終われば論議を加速させる考えだろう。

 「人づくり革命」は、6月の通常国会閉会後の記者会見で新たに掲げた看板だ。公約には20年度までに3〜5歳の幼稚園、保育園の費用を無償にすることなどを記した。19年10月の消費税引き上げで増収分の使い道を変え、子育て世代に集中投入するという。

 解散の大義として首相がひねり出したアイデアだ。党内論議を積み上げたものではない。2兆円規模の政策パッケージを年末までにまとめるとしており、詳しい中身は分からない。首相は増税を2度先送りしている。2年後に上げられるのかも疑問が残る。

 財政再建については、さらに曖昧だ。基礎的財政収支(プライマリーバランス)を20年度に黒字化する目標を先送りするのに、新たな時期は示さない。「歳出・歳入両面の改革を進め、目標達成に向けた具体的計画を策定する」との記述にとどまる。

 首相は「誠実に愚直に具体的な政策を訴える」としている。詳細を示さず、衆院選を乗り切った途端に「信任を得た」と強弁することは許されない。

(10月4日)

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