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米国の銃器メーカーの関連株が大幅に上昇したという。ラスベガスの銃乱射事件から一夜明けた2日のニューヨーク株式市場である。犠牲者数など実態が分かり不安心理が強まると護身用に銃を買い求める人が増える―。そんな思惑だ

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メーカーは挽回の好機と勇み立っているのではないか。トランプ氏が大統領選に勝利した昨秋以降、銃器や銃弾の販売が落ち込み株価も下がっていたからだ。全米ライフル協会の支援を受けた新大統領のもと銃規制は遠のくとの見方が買い控えを広げた

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オバマ前大統領は度重なる乱射事件に銃規制を強化しようとした。すると駆け込みの購入が増え銃器ビジネスは活況を呈した。銃の暴力の死者は年間約3万人。学校も標的になり子どもの犠牲も多い。それでもなお銃に頼る社会の皮肉な現象だ。歴史や文化にカネも絡み根は深い

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昨年5月にはこんな報道もあった。2012年に17歳の黒人青年を射殺しながら正当防衛を主張して無罪になった元自警団リーダーの男が、使った拳銃をネットの競売サイトに出品した。25万ドル(約2750万円)で購入するとの申し出を受けたという

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無罪への抗議集会が各地で開かれ競売出品も批判を呼んだ。だが男は「私は自由な米国人で所有物を好きにできる」と正当化した。光がまぶしければ影は濃い。ネオン輝くラスベガスのホテルで引き金を引き続けた男は銃口の先に何を見ていたのか。2人に通じる心の闇の深さにたじろぐ。

(10月4日)

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