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昆虫の羽は背中から形成 筑波大実験所教授ら論文

 昆虫の羽は体のどこから形成されるのか―。筑波大山岳科学センター菅平高原実験所(上田市)の町田龍一郎教授(64)=昆虫比較発生学=らが、昆虫の羽のシート状の部分は背板(背中の板)から形成され、足の付け根付近の筋肉と関節で動く―と結論付ける研究結果をまとめた。コオロギの一種の卵から成虫に至るまでの過程を走査型電子顕微鏡で観察した。論文は4日までに国際学術誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。

 町田教授はかつて、信州大理学部(松本市)の研究者らとともに昆虫の羽の形成に関わる遺伝子を研究。成長の過程で足の形成に関わる遺伝子と背板にある遺伝子が背中側で出合い、協力し合って羽を作るとする「二元起源説」を2010年に発表した。今回は、町田教授の教え子の真下雄太・日本学術振興会特別研究員との共同研究で10年の仮説の裏付けを試みた。

 フタホシコオロギが卵から成虫に至るまでの過程を観察。足や羽が徐々に形作られていく様子を追った。その結果、体の側方を覆う「側板」が足の付け根部分が由来であることを確認。これまで曖昧だった側板と背板の境界部分も判明した。さらに羽のシート状の部分は背板から形成され、背板との境界にある側板の裏にある筋肉と関節を使って動かしていることを突き止めた。

 昆虫が進化の過程で羽をどのように獲得したかを巡っては、背板が張り出して羽になったとする説、足の付け根付近の部位が羽になったとする仮説があった。二つを組み合わせたのが二元起源説。町田教授は今回の研究で、長年の論争に「決着がつく」と説明。羽の形成過程がより鮮明になり、「今後は、昆虫類の進化を説明する際に説得力のある物語を描ける」としている。

 10年に二元起源説を共に発表した理化学研究所多細胞システム形成研究センター(神戸市)の林茂生さん(58)=発生遺伝学=は「説が確定したかどうかは学会の議論に任せたいが、これまでなかった重要な証拠を提示した」と評価している。

(10月5日)

長野県のニュース(10月5日)