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英国の作家スウィフトの風刺小説「ガリバー旅行記」に主人公が江戸時代の日本に上陸する場面がある。オランダ商人を名乗り「踏み絵」の免除を申し出る。「皇帝」は驚いて言う。お前の国の者でそんな尻込みするのは初めてだ、と

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書かれた18世紀初頭、踏み絵は欧州でも知られていた。キリストの絵像を足で踏ませ信者か否かを判定、棄教強制の手段でもあった。鎖国の時代にオランダは幕府が欧米で唯一貿易を認めていた国。経済優先で踏み絵もためらわないことへの風刺である

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希望の党が示した「踏み絵」を前に民進出身の立候補予定者は苦悩したことだろう。公認の条件に代表の小池百合子都知事と交わした政策協定書だ。民進党が反対し続けた安保法制を容認する。改憲を支持し論議を幅広く進めるとの項目もある。それでも、選挙に勝ち抜くには…

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まずは100人余の民進出身者が公認を受けた。江戸期のオランダ人のように「名より実を取ればいい」と小池人気に頼って表向きだけ宗旨変えした人もいるかもしれない。どちらにしろ踏み絵の先に大きな誤算が待ち構えていた。小池氏の出馬固辞だ

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演出を巧みに重ね風を吹かせた揚げ句の不出馬では無責任とのそしりは免れない。安倍1強に対抗した政権選択選挙にとの掛け声は勢いを失いつつある。そもそも解散は安倍晋三首相の打算が働いたからだろう。風にあおられ震え続ける政治はスウィフトならずとも痛烈に風刺したくなる。

(10月6日)

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