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「カタルーニャがスペインなのだ」。建築家アントニ・ガウディはこんな言葉を残している。スペイン北東部カタルーニャ地方に生まれ育った。独自の言語、文化、歴史を誇りにする土地柄である。ことのほか愛着が強かったのだろう

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30歳のころからスペイン語を一切使わなくなった。ある時、警察官に職務質問された。スペイン語で答えるよう求められても頑として禁じられていたカタルーニャ語を使い、拘束された。「ふしぎの国のガウディ」(エクスナレッジ社)で知った逸話だ

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カタルーニャ自治州政府が中央政府や憲法裁判所の違憲判断を無視して住民投票を強行した。州都バルセロナなどでは投票阻止に出た警察と独立派住民が衝突し多数の負傷者が出た。賛成が9割を占めたというが投票率は4割。反対派は投票を拒んだ。賛否真っ二つの亀裂は深い

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中央政府の強硬姿勢に自治州首相は「独立宣言」をしばし凍結するという。民族主義が強まる背景に何があるのか。カタルーニャでは移民が急増している。多民族社会になり、カタルーニャ人のアイデンティティーも大きく揺らいでいるのかもしれない

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バルセロナの観光名所サグラダ・ファミリア(聖家族)教会はガウディの代表作だ。着工から135年の今も弟子らに引き継がれ工事が続く。国家の統合と民族自治も未完のプロジェクトだろう。多様性を尊び移民への偏見をなくす実践で知られる都市だ。両立できる設計図を描けないか。

(10月12日)

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