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米軍ヘリ炎上 不安置き去りにするな

 沖縄で米軍機がまた事故を起こした。炎上し、大破した現場は、民家から300メートルほどしか離れていない。乗員や周辺住民に被害はなかったものの、一つ間違えば大惨事になりかねなかった。原因を徹底究明し、再発を防がなくてはならない。

 大型輸送ヘリCH53が訓練飛行中にエンジンから出火し、米軍北部訓練場に近い東村高江の牧草地に緊急着陸した。米海軍安全センターは事故の評価を、最も重大な「A級」に分類している。

 昨年12月、輸送機オスプレイが名護市沖で大破した事故から1年とたっていない。CH53は2004年に沖縄国際大の構内に墜落する事故を起こした。1999年にも国頭村沖に墜落し、乗員4人が死亡している。

 北部訓練場は沖縄最大の米軍演習場だ。昨年、ヘリ離着陸帯が新たに6カ所、高江地区を囲むように造られた。低空を米軍機が日常的に飛び、住民は危険と隣り合わせの生活を強いられている。不安と怒りを募らせるのは当然だ。

 事故が度重なる背景には、原因が詳しく分からないまま飛行再開を容認してきた日本政府の姿勢がある。名護市沖の事故では、わずか6日後に再開を認めた。

 再び形だけの飛行自粛要請で済ませてはならない。高江周辺の離着陸帯の運用停止についても米側と交渉すべきだ。

 米軍機の事故は、日米地位協定によって日本側の捜査が阻まれてきた。沖縄国際大への墜落事故では、米軍が現場一帯を封鎖し、警察の立ち入りを拒んだ。名護市沖の事故でも、共同捜査の要請に応じなかった。

 国民の命に直接関わる問題である。原因の解明や責任の追及を米軍任せにはできない。政府は捜査の受け入れを強く迫る必要がある。妨げとなる地位協定は、見直さなくてはならない。

 今回の事故は、沖縄の基地負担の重さをあらためて浮き彫りにした。在日米軍基地の7割余が沖縄に集中し、周辺の騒音被害も深刻だ。米兵らの犯罪も絶えない。

 名護市辺野古では、米軍普天間飛行場の移設先として政府が新たな基地建設を強行している。衆院選で、沖縄の基地問題はもっと議論されるべきだ。

 野党の姿勢も異なる。辺野古の基地建設について、希望の党の小池百合子代表は推進を明言し、立憲民主党は「再検証」を公約に掲げた。共産党、社民党は中止の立場だ。各党、候補の沖縄に向き合う姿勢に目を注ぎたい。

(10月13日)

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