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衆院選に問う 財政再建 付け回しを続けるのか

 国の借金は1千兆円を超え、日本の財政は先進国で最悪の水準にある。立て直しが急務だ。各党は財政健全化の道筋を具体的に示さなくてはならない。

 安倍晋三首相は衆院の解散表明に当たり、2019年10月に予定する消費税率引き上げでの使途変更を打ち出した。増税分の8割は借金抑制に使うことになっていたものの、一部を幼児教育の無償化などに転用する。

 合わせて、基礎的財政収支(プライマリーバランス)を20年度に黒字化するという財政健全化目標を先送りしている。社会保障や公共事業といった政策的経費を税収などの基本的な収入でどれだけ賄えているかの指標だ。

 事実上の国際公約である。黒田東彦日銀総裁は先ごろ20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で先送りに理解を求めた。

 首相は「財政再建の旗は降ろさない」とするものの、達成時期は示していない。自民党は「引き続き歳出・歳入両面からの改革を進め、目標達成に向けた具体的計画を策定」とするだけだ。

 もともと達成は難しいとみられてきた。増税分を使い、高い成長率を見込んでも赤字になると試算されている。使い道の変更で借金はさらに膨らむ。いつ、どのように黒字化しようというのか。

 公明党の山口那津男代表も衆院選後に新たな財政再建計画の策定を目指す考えを示している。具体策が分からなければ、有権者は判断のしようがない。

 達成の時期や道筋が明確でないのは、野党も同じだ。

 希望の党は、消費税増税を凍結し、財政支出の削減や国有資産の売却などで基礎的財政収支の改善を図るとしている。年限については、20年度黒字化を非現実的だとして達成可能な目標に訂正すると記すにとどまる。

 日本維新の会も凍結を掲げ、立憲民主党は直ちに引き上げることはできないとする。共産、社民両党は消費税増税に反対する。十分な財源を確保できるのか、実現可能な主張なのか、それぞれ詳しく説明する必要がある。

 次世代に付け回しを続けることは許されない。財政再建には歳入増とともに、歳出に切り込む努力が必要だ。各党の公約は、教育無償化をはじめ聞こえのいい取り組みが並ぶ一方、痛みを伴う改革は目立たない。国民に不人気な政策を伏せるのでは無責任である。

(10月20日)

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