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あおり運転 事故の教訓を生かさねば

 高速道路を走行中にあおられた末、2人が亡くなった事故を重く受け止め、対策を急がなければならない。

 事故は神奈川県の東名高速道で6月に起きた。神奈川県警の調べによると、こんな経過をたどった。

 パーキングエリアで駐車位置を巡って注意された25歳の男が逆恨みし、静岡市の夫婦のワゴン車を追跡。進路をふさぐなどし、追い越し車線上に停止させた。

 ワゴン車のドアを開けさせると、夫の胸元をつかんで車外に引きずり降ろそうとした。そこへ大型トラックが追突。夫婦は死亡、同乗の娘2人もけがをした。

 男は今月10日、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)と暴行の疑いで逮捕され、容疑を認めた。

 逮捕容疑の過失運転致死傷罪は最高刑が懲役7年。同県警は最高で懲役20年の危険運転致死傷罪の適用を検討した。酒や薬物の影響を受けたり、通行妨害目的で接近したりするなどの危険な運転によって人を死傷させる事故を起こした罪だ。

 ただ、この罪に問えるのはあくまで「運転する行為」。事故は男が車を降りた際に起き、運転が中断したため適用は見送られた。

 危険極まりない行為によって家族を失った遺族が「殺人にも等しく、軽い罪では納得できない」と憤るのも無理からぬことだ。

 あおり運転など道交法違反の「車間距離不保持」での摘発は昨年1年間に全国で7600件余に上る。その9割近くが高速道での違反だ。

 日本自動車連盟(JAF)の調査では、半数以上の人があおられた経験を持ち、日常化しているといえる。こんな時は近くの安全な場所に退避し、110番通報する(長野県警)というのが自衛の基本だ。

 一方で、どの運転者も危険な運転をしかねない要素を持っている。急ぐ、イライラする、焦るという感情ストレスが狭い車間距離、急な加減速、スピードの出し過ぎなどを誘発するとされる。

 岐阜県内の自動車学校は、プロドライバー向けに「感情コントロール教育」という講習を設けている。コース内で教官が運転者をわざと焦らせ、冷静さを失うことの危険性を体感してもらう。その後、落ち着くよう自分に言い聞かせることを指導する。

 国際交通安全学会は、人が本来備えている安全運転の自己管理能力を引き出し、その水準を上げていくことが大切だと指摘する。運転者教育の向上を目指したい。

(10月21日)

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