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衆院選に問う 温暖化対策 自然エネ拡大は急務だ

 どの党が政権に就こうとも、優先して取り組まなければならない課題の一つに地球温暖化対策がある。

 パリ協定に基づき、日本は温室効果ガスの排出量を、2030年に13年比で26%、50年には80%削減すると約束している。鍵となるのがエネルギー政策だ。

 衆院選公約で与野党は、そろって自然エネルギーの導入拡大を掲げ、省エネ推進を訴えている。ただ、論戦は物足りなかった。

 電力小売りの自由化が始まったものの、需給の仕組みがどう変わろうとしているのか、判然としない有権者もいるだろう。各党は、国民に利する電力改革の構想を分かりやすく語るべきだった。

 世界の総発電量に占める自然エネの割合は25%近くまで増えていて、この分野への投資額は年30兆円超に達している。欧米では、化石燃料を扱う企業から投資を引き揚げる動きが広がる。

 こうした動向に、日本はついて行っていない。

 3・11後、固定価格買い取り制度を設け、自然エネの導入を促したまではよかった。が、太陽光発電の事業者が急増すると、大手電力は買い取りを拒んだ。政府も是正せず、大手電力が自然エネ事業者に対し、無補償で出力抑制を要請できるようにした。

 送電網の所有は、一航空会社が空港を独占し、他の航空会社から多額の料金を取るのに似る。公平に利用できなければ、自由な競争は成り立たない。

 政府は、電力会社の送電部門を別会社にして中立性を高めるとしている。発電と送電の分離時期は20年の予定だ。より公平な所有権分離(資本関係の解消)を検討し直してはどうか。

 安倍政権は原発とともに、二酸化炭素を大量に出す石炭火力発電所の新増設を認め、輸出も推し進めている。大規模な発電施設に依存する姿勢は、電力の仕組みを小規模分散型へと移行する欧州や米国各州とは対照的だ。

 ドイツでは電源構成だけでなく、電力会社に発電時に出る放射性廃棄物の量まで公表を義務付けている。電力を巡る情報公開の面でも日本は立ち遅れている。

 温室効果ガスの削減は国際公約であるばかりではない。温暖化を抑えられなければ、影響は国民の暮らしに直接、間接に及ぶ。各党は選挙後も党派を超え、最善の策を講じていく必要がある。

(10月21日)

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