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レイテ沖海戦体験の美術教員、22日から故郷・阿南で遺作展

飛矢崎さんが1970年に制作した「レイテ突入」と題した油彩画(右)飛矢崎さんが1970年に制作した「レイテ突入」と題した油彩画(右)
 下伊那郡阿南町出身の洋画家で、戦時中に巡洋艦愛宕に乗船した飛矢崎真守(ひやざきまもる)さん(1922〜2012年)の遺作305点が同町に寄贈され、22日から町民会館で展示される。作品の中には、愛宕が撃沈したレイテ沖海戦の情景を描いた作品が含まれており、孫の雅也さん(43)=山梨県北杜市=は「故郷の地で、祖父が込めた平和への思いを伝える一助になればいい」と寄贈した。

 雅也さんによると、飛矢崎さんは長野県師範学校(現信州大教育学部)で絵画を学び、1985(昭和60)年まで県内の中学校で美術教員をした。教員になって2年目の43年、海軍に徴兵された。44年にフィリピンのレイテ島沖で米軍と激戦となったレイテ沖海戦では、海上で味方に救助されて生き延びた。

 飛矢崎さんは長野市で他界するまでに約2千点を制作。県内の里山や犀川などの自然景観や人物画が多くを占めており、戦争を題材にした作品はほとんどない。

 雅也さんによると、飛矢崎さんは戦後間もなく、雑然とした台所を描いた一水会展入選作品「おかって」に代表されるように日常生活を題材にしたものが多いという。自身の体験を基に描いた「レイテ突入」は70年の制作で、朝焼けの海上に軍艦が並び、開戦前の静かな情景を表現している。

 明治大兼任講師で日本政治史が専門の雅也さんは「若くして死を覚悟した時の思いが込められた作品だと思う。戦争体験の風化を感じて筆を執った祖父の思いが、故郷の子どもたちに伝わっていくといい」と話している。

 展示は11月12日まで。月曜休館。午前9時〜午後5時。入場無料。

(10月21日)

長野県のニュース(10月21日)