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きょう投票 「白紙委任」はできない

 いったい何のため、誰のための選挙なのだろう―。もやもやした気持ちが晴れぬままに迎えた衆院選の投票日である。

 不意打ちの解散、野党の離合集散と、ドタバタ劇が目につくばかりで政策論議は深まらなかった。結局、何を基準に誰に投票したらいいか、迷っている人が多いのではないか。

 それでも、選挙の結果がこの国の行方を大きく左右することは間違いない。棄権して「白紙委任」してしまうわけにはいかない。政治に信用が置けないと思うのなら、なおのことそうだ。

 今衆院選で問われるのは、5年近くに及ぶ安倍晋三政権をどう評価するかだ。継続を是とするのか否か。判定を下すのは、有権者が示す民意である。

 政権・与党はこの間、経済の立て直しを前面に掲げつつ、特定秘密保護法や安全保障法制、共謀罪法を、採決を強行して成立させてきた。森友、加計学園の問題にも政治のゆがみは表れていないか。政策の是非とともに政権の姿勢に目を向ける必要がある。

 現憲法施行70年の5月、安倍首相は9条に自衛隊を明記する改憲案を打ち出した。自民党は初めて改憲を公約の柱の一つに据えて総選挙に臨んでいる。

 野党の希望の党、日本維新の会も9条を含めた改憲論議に前向きだ。一方で、立憲民主党は安保法制を前提とした「改悪」は認めないとする。共産党、社民党は改憲反対を掲げている。

 結果次第で改憲論議は一気に加速する可能性がある。国会の発議と国民投票が現実味を増す。日本社会が大きな分岐点にあることを胸に置いて投票に臨みたい。

 18歳選挙権が実現して初の政権選択選挙である。教育や雇用をはじめ若い世代にとって切実な課題は多い。政治は縁遠い世界のことではない。国の根幹である憲法についても、これからの時代をつくっていく人たちにこそ、しっかりと向き合って考えてほしい。

 2014年の前回衆院選は、投票率が52・66%と、12年の前々回に続いて戦後最低を更新した。今回さらに下がり、50%を割ることも懸念されている。議会政治が基盤を失って形骸化しかねない。

 民主主義は一人一人の声の積み重ねで成り立つ。選挙は、主権者である私たちの意思を政治の場に反映させる重要な回路だ。一票をおろそかにはできない。

(10月22日)

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