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首相会見 「謙虚」の言葉は本物か

 「謙虚で真摯(しんし)な政権運営に努めなければならない」。衆院選の結果を受けた記者会見で安倍晋三首相は神妙に語った。低姿勢は本物か、言動に目を凝らさなくてはならない。

 自民、公明両党で定数の3分の2を確保した。自民は単独で絶対安定多数の大勝である。首相は会見で「目標を大きく上回る力強い支持をいただいた」としつつ、国民から厳しい目が向けられているとの認識も示した。

 第2次政権発足から5年近くがたち、1強のおごりや緩みが目立つ。共同通信社の世論調査では内閣支持率より不支持率が高い。圧勝とはいえ、野党候補の乱立が与党を利した面は否めない。謙虚な姿勢で臨むのは当然である。口先だけであってはならない。

 まず問わねばならないのは森友学園、加計学園を巡る問題だ。追及のため野党が要求した臨時国会の早期召集に首相は応じなかった上、冒頭解散に踏み切った。衆院選に勝利したことで、うやむやにはできない。

 会見で首相は、丁寧に説明してきたとの認識を示した。獣医学部新設計画について首相の指示を受けたとする人は1人もいない、愛媛県の前知事は「ゆがめられた行政を正した」と述べている―などと従来の主張を繰り返した。

 今後も質問されれば丁寧に答えるとしたものの、これ以上の説明をする意思は感じられない。

 格安の国有地売却や半世紀ぶりの獣医学部新設計画はどのように決まったのか。公平、公正だったのか。首相は、関係する職員に詳しいやりとりを明らかにさせるべきである。記録はないと突っぱね根拠を示さずに疑惑を否定しても堂々巡りになるだけだ。

 自民が今回、公約の重点項目に位置付けた改憲については「スケジュールありきではない」と述べている。5月に党総裁としてのビデオメッセージで2020年施行を目標としたのは、議論を活性化するためだと説明した。これも額面通りには受け取れない。

 「幅広い合意形成に努力していきたい」と重ねて意欲を表明している。公明の山口那津男代表との会談でも論議を進めることで合意した。連立政権が進める主要政策に、衆参両院の憲法審査会での審議促進などを盛っている。

 立憲民主党を含めた合意形成については「努力する」と述べるにとどめた。野党第1党の賛同がなくても発議しようという考えなのか。国民の間に亀裂を生む強引な進め方は許されない。

(10月24日)

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