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神鋼・日産不正 品質軽視の体質にメスを

 利用者にとって最も大切な安全性より効率が優先された。

 神戸製鋼所と日産自動車の不正である。名だたる大企業の倫理の欠如は、日本の製造業に対する世界の信頼を揺るがす。徹底した原因究明で、再発防止に努めなければならない。

 神鋼は、顧客と約束した強度の仕様を満たさないアルミニウム製品などの検査証明書のデータを書き換え、合格品のように装って出荷していた。

 今月上旬に発表後も鉄粉や特殊鋼、子会社が手掛ける液晶画面材料で同様の不正が相次いで発覚している。

 出荷先は米国などを含め約500社に上る。特に自動車や新幹線、旅客機は強度不足が人命に関わる。各社が安全性の確認に追われる事態になった。

 しかも神鋼は今年8月末に改ざんを把握したにもかかわらず公表せず、経済産業省に促されて記者会見した。不信感を増幅させる結果を招いた責任は大きい。

 神鋼では製鉄所で環境基準を超えるばい煙を出しながら、データを書き換えていたことが2006年に分かった。昨年はグループ会社がステンレス鋼線の強度の試験値を改ざんしたと発表したばかりだ。過去の教訓を生かせない統治能力の低さが浮かぶ。

 日産は、国の規定に反し、資格を持たない補助検査員に新車の最終検査をさせていた。国内全ての完成車工場で見つかっている。

 追加分を含め全38車種、計約120万台のリコール(無料の回収・修理)を届け出た。国内向け車両の生産、出荷停止にも追い込まれている。

 両社の不正に共通するのは、組織ぐるみで長く続いたとみられるのに、経営陣が把握できなかったとしていることだ。発覚後の現場の無責任な対応も似ている。

 神鋼は一連の不正を自主点検する過程で、工場の管理職を含む従業員が改ざんを報告せずに隠していた。日産は無資格検査の公表後も神奈川県の工場で資格のない従業員が検査に携わっていた。「作業が遅れているからやってくれ」と指示されたという。反省が浸透しない組織の病理を見るようだ。

 両社の不正は、納期を守ることや人手不足へのプレッシャーも背景にあったとされる。

 ともに第三者組織が調査を進めている。なぜ不正が始まり、広まったのか。そして見逃され続けたのか。労働環境に問題はなかったのか。深くメスを入れて解明する必要がある。

(10月26日)

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