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「もうはまだなり、まだはもうなり」。もうこれが高値や底値かと思うとまだ先があり、まだ続くかと思うと限界だったりする。代表的な相場格言の一つ。転じて思い通りにいかないたとえに使われる。なにやら禅問答のようで奥深い

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格言の元祖に挙げられるのは江戸中期の米相場師、本間宗久である。「本間様には及びもせぬが、せめてなりたや殿様に」とうたわれた山形・酒田の豪商一族。相場で本間家に富をもたらしたが、堅実なおいが家督を継ぐと、江戸に出て独立したとされる

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気持ちがはやるときは3日待て、底と天井を狙って売買せよ―。経験則に基づいた“相場の神様”の心得が秘伝書として残されている。株や為替で今も使われる値動きの分析方法を考案したとの説もある。さて、きのう新記録の16連騰で一服した株価を、神様ならどうみるだろう

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バブルはもうか、まだか。「好調な企業業績の裏付けがある」「海外投資家は日本を割安とみている」と市場関係者からは強気な声が聞こえてくる。日銀は大規模な金融緩和でカネ余りを生み株を買い支える。手を引くタイミングは「まだ」でいいのか

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宗久の時代はたびたび凶作で一揆が起きた。好機とばかりに商人が買い占め大もうけする一方で、庶民は飢えに苦しんだ。株価上昇は結構だが、心配なのは物価も上がりそうなこと。賃上げが追いつかなければ暮らしは苦しくなろう。政権の最低限の仕事はこれ以上格差を広げないことだ。

(10月26日)

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