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ドラフト未練なし BC信濃主将の柴田悠介さん夢に終止符

ドラフト会議で指名がなく、現役生活に区切りをつけた信濃グランセローズ主将の柴田悠介さん=26日午後8時すぎ、中野市の自宅ドラフト会議で指名がなく、現役生活に区切りをつけた信濃グランセローズ主将の柴田悠介さん=26日午後8時すぎ、中野市の自宅
 26日に行われたプロ野球のドラフト会議。独立リーグのBCリーグで球団初のリーグ優勝を果たした信濃グランセローズの主将柴田悠介さん(26)が、中野市内の自宅アパートで、スマートフォンのインターネット中継を祈るように見守った。NPB(セ・パ両リーグ)入りを最大の目標に掲げてきた。が、名前が呼ばれることはなかった。「やれることはやった。未練はありません」

 今年3月14日、肌寒く小雨の降る中野市の王日神社で行われた今季の必勝祈願。柴田さんは「今年は独立リーグ日本一を狙う」と宣言した。その7カ月後の10月18日。徳島市で行われた独立リーグ日本一の座を懸けたグランドチャンピオンシップ最終戦。六回に1点差に詰め寄ったところで雨脚が強まった。1時間22分の中断を挟み、球審がコールドゲームを宣告。「今年で最後のつもりでやってきた。悔やんでも悔やみきれない」と言葉を絞り出した。

 柴田さんの経歴は華やかだ。愛知県出身で中京大中京高3年の時、夏の甲子園決勝で2安打3打点と活躍し優勝。明治大4年時には東京六大学で2季連続リーグ優勝した。「所属したチームで優勝していないのは信濃だけ」と冗談交じりに話していた。

 大学卒業後、静岡ガスで軟式野球をしていたが、夢を追うため信濃の門をたたいた。2年目の昨季は正捕手で71試合に出場したものの、個人成績が終盤で下降。「甘さがあった。もっと突き詰めてやれる部分があった」。今季を独立リーグでの最後の年と決め、自らを追い込み志願して主将に就いた。

 昨季後のオフ、信濃がどうして勝てないのか考えた。「ある程度できる人は多いけれど、どこかで格好つけている」。技術がありながら、必死に取り組む姿勢が欠けていると感じた。主将として「何事も泥くさくやる」。快進撃を続けた今季のチームを先頭に立って引っ張った。

 BCリーグの「BC」は「ベースボール・チャレンジ」の頭文字。NPB入りを目指す選手らの挑戦の場を掲げる。今季開幕時の信濃の選手の平均基本給は月額約13万7千円。出来高払いも加わるが、決して高くない。シーズンを終えると翌シーズンのキャンプインまでは給料はない。冬場はアルバイトなどでやりくりしながら、自主トレーニングに励んでいる。そうした厳しい環境の中、BCリーグからNPBのドラフト会議で指名を受けたのは昨年までの10年間で29人(うち信濃6人)。今年、信濃の選手はいなかったが、リーグからは6人が指名された。

 一方で、大多数の選手にとっては夢を諦める場にもなる。BCリーグで結果を残し、チームが優勝したとしてもドラフト会議で指名されるわけではない。リーグは来季、原則26歳以下とする年齢制限制を導入する。リーグによると、昨季までに指名された29人の平均年齢は23・4歳。夢を追い掛けられる時間は決して長くない。一人また一人と厳しい現実を見つめ、現役に終止符を打っていく。

 ドラフト会議終了後、1Kの自室で父親からの電話に「すっきりした」と語った柴田さん。就職活動はこれからだ。野球をやめてからの長いセカンドキャリア。野球とどう関わっていくかはまだ決まっていないが、「独立リーグで学んできたことは、かなり生かせると思う」と話した。

(10月27日)

長野県のニュース(10月27日)