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臨時国会 謙虚な政治言うのなら

 政府は野党が求める臨時国会の召集に応じない方針だ。

 衆院選後の記者会見で安倍晋三首相は「今まで以上に謙虚な姿勢で真摯(しんし)な政権運営」に努めるとしていた。ならば国会審議に臨むべきである。

 菅義偉官房長官は、特別国会を11月1日に召集すると衆院各派協議会などで伝えた。自民党は会期を8日までにしたいと提案している。トランプ米大統領の来日などが重なるため、実質3日間しかない。首相指名や議長らを決めるだけで終わってしまう。

 臨時国会に応じないのは、年末までに開く時間的な余裕がないとの判断からだ。アジア太平洋経済協力会議(APEC)や東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳会議など、外交日程が立て込んでいるという理屈である。

 野党は加計学園問題などの追及のため6月に召集を求めた。4分の1以上の議員の要求があったとき「内閣は召集を決定しなければならない」と憲法は定める。首相は放置した末、冒頭解散した。

 自ら日程を窮屈にしておきながら身勝手な言い分だ。7カ月間も実質的な国会論議が行われないことになる。安全保障関連法を成立させた2015年も政府は同様の理由で要求に応じなかった。

 国有地が約8億円の大幅値引きで売却された森友学園問題、国家戦略特区制度を活用した獣医学部新設計画が認定された加計学園問題、ともに疑問が消えない。共同通信社の9月下旬の世論調査では政府の説明に納得できないとの回答が8割近くに上った。

 森友問題を調べている会計検査院は年内にも結果を公表する。これまでの調査で、値引き額は最大約6億円過大だったと試算しているという。加計問題では、計画を知ったのが今年1月20日だったとする首相の答弁の不自然さが指摘されている。

 選挙後、首相は「これからも国会で質問されれば丁寧に説明していく」と述べていた。実質的な審議が行われないのでは、野党が質問をしようにもできない。来年の通常国会まで疑惑を隠し、追及を逃れようというのか。

 与党は首相が出席する衆参の予算委員会の閉会中審査を検討している。形だけの質疑でお茶を濁すことは認められない。

 野党側は特別国会で首相の所信表明演説、各党の代表質問など審議を尽くすよう求めている。会期を延ばすか、臨時国会を召集するか。「謙虚に」と言うのなら、取るべき道はどちらかしかない。

(10月28日)

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