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伝統の平谷歌舞伎、12年ぶりの演目に挑戦 きょう公演

平谷村の文化を守りたいと稽古に励む村民ら平谷村の文化を守りたいと稽古に励む村民ら
 下伊那郡平谷村に明治初期から伝わる地芝居「平谷歌舞伎」の公演が28日、平谷小学校で開かれる。長年指導してきた同郡下條村の小池恒久さんが4年前に80歳で亡くなってから比較的簡単な演目を続けてきたが、今年挑戦するのは12年ぶりの「奥州安達原(あだちがはら)三段目袖萩祭文(そではぎさいもん)の段」。「ここまでやれるという意地を見せたい」と、村歌舞伎クラブ代表の西川宗一(そういち)さん(63)らは張り切っている。

 雪の中、親に勘当された盲目の袖萩が娘と両親を訪ねてわびる悲哀に満ちた前半と、源氏に討たれた安倍一族の兄弟が報復しようと力強く動き回る後半のめりはりが見せどころ。同クラブの約15人が稽古に熱を入れ、26日夜は、西川さんが役者を厳しいまなざしで見つめた。ぎこちない動きには演技を止めて指導。せりふをよどみなく言えた小学生には「上手になったね」と期待を込めていた。

 同じ演目で村民を飽きさせたくないと上演を決めたが、12年前に演じた経験者がほとんどおらず、せりふや所作も忘れられていた。演者11人が出演する大掛かりな舞台でもあり、西川さんは1カ月前倒しして稽古を開始。小池さんの後輩に当たる下條歌舞伎の演者や三味線の支援も得て、公演にこぎ着けた。

 若い力も加わる。下伊那農業高校(飯田市)2年の西川茉亜莉(まあり)さん(17)は平谷小6年生以来の出演。バスで約30分の阿智中(同郡阿智村)に通うようになって部活動も忙しく、地芝居から遠ざかっていたが、「やっぱり演じたい」と戻ってきた。

 この春平谷小に赴任し、稽古に誘われた同校講師の塩沢哲平さん(29)=飯田市出身=もその一人。「稽古が始まると子どもらの顔つきが変わる。スイッチが切り替わるんです」と驚きつつ、「世代を超えてつくり上げる」地芝居の楽しさを感じている。

 公演は午後5時から。無料。

(10月28日)

長野県のニュース(10月28日)