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無人の故郷で御柱祭にぎやかに 集団移転の諏訪・椚平地区

力を合わせて御柱を引く人たち。椚平の絆もつないでいる力を合わせて御柱を引く人たち。椚平の絆もつないでいる
 1973(昭和48)年の集団移転で無人になった諏訪市湖南の椚平(くぬぎだいら)地区で28日、山(やま)の神(かみ)社の御柱祭があった。諏訪大社御柱祭の年に旧住民らが集まって開いてきたが、昨年は社殿の屋根が倒木で壊れた影響もあり断念。1年遅れの開催となった。近くの南真志野(まじの)地区の若連も駆け付け、40人ほどのにぎやかな掛け声が久々に山あいに響いた。

 椚平は上伊那郡箕輪町境の標高千メートル付近にあり、最盛期は15軒ほどあったという。バス路線の廃止などで残っていた全8軒が市内外に移転したが、山の神社は残し、7年目ごとに御柱祭を続けてきた。

 かつて移転事業を担当した元市職員の小松昭夫さん(83)は旧住民ではないが椚平に思いを寄せ、御柱祭に足を運んできた。今回は足の具合が良くないため軽トラックの上からの見学になったが、「こうして住民が集まり続けていることがうれしい」と話す。

 御柱を曳行(えいこう)するには人手が足りず、今回も近くの南真志野の若連が加勢。御柱の前後に「メドデコ」を取り付ける作業なども担った。この日は午前9時に集落を出発。時折、大雨に見舞われながらも、長さ8メートル余のカラマツ1本を約500メートル引き、山の神社境内の斜面に建てた。

 「昨年は残念だったが、何とか開くことができた」と、世話人を務める同市の矢ケ崎岩男さん(69)はひと安心。松本市の会社員矢ケ崎一彦さん(62)は「畑だった場所が林に変わり、40年の歳月を感じます」と感慨深げだ。

 祖父が椚平出身の縁で参加した伊那市の伊那小学校2年、伊東陽海(ひみ)さん(7)は初めて曳行中の御柱に乗り、「ちょっと怖かった」。それでも、時々バーベキューなどで訪れる「おじいちゃんの山は楽しい」と笑顔を見せていた。

(10月29日)

長野県のニュース(10月29日)